Health and self-therapy information
asa Health Information 暑熱順化 2025.5月号
暑熱順化(しょねつじゅんか)は、高温環境に体を慣らして暑さに強くなるためのプロセスです。これは熱中症の予防やパフォーマンス向上にとても重要です。
暑熱順化の仕方(実践方法)
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徐々に高温環境に身を置く
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最初は短時間(15〜30分)から始め、徐々に運動量や時間を増やす。
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目安:1日1時間程度、7〜14日間の継続が効果的。
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運動を取り入れる
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ウォーキング、ジョギングなどの軽度〜中程度の運動が有効。
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汗をかくことで順化が進む。
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気温が高くない場合は人工的な環境を使う
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サウナ、温かいお風呂(40〜42℃のお湯に10〜20分浸かる)でもある程度の効果あり。
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水分・電解質補給をしっかり行う
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汗で失う水分・ナトリウムの補給は順化をスムーズにする。
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涼しい環境に長時間いないようにする
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冷房の効いた部屋にばかりいると順化が進みにくい。
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暑熱順化の消失
- 約1週間で順化の効果は薄れ始め、2週間以上非曝露だとほぼ消失します。
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継続的な高温環境の暴露が大事です。
高齢者向けの暑熱順化:方法と注意点
1.開始は涼しい時間帯から
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朝や夕方の比較的涼しい時間に15〜20分程度の軽い活動(散歩、体操)からスタート。
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屋外が不安な場合は、室内で扇風機を止めた状態で体操なども有効。
2.入浴によるバッシブ順化(受動的順化)
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毎日のぬるめ(38〜40℃)の入浴を10〜15分。
3.水分・塩分補給の徹底
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高齢者は喉の渇きを感じにくくなるため、意識的な水分摂取が重要。
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1日あたり1.2〜1.5Lの水分補給が目安(食事中含む)。
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発汗が多い場合は、経口補水液や味噌汁などで塩分も補う。
4.ゆっくりとした順化スケジュール
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若年者の半分程度のペースで進める。
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例:2週間〜3週間かけてゆっくり慣らす
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毎日少しずつ体を動かす「継続」がカギ。
環境温度の意識付け
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室内の温度・湿度計を設置し、熱中症リスクを数値で理解。
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冷房を完全に止めるのではなく、設定温度を少し高めに調整(28℃程度)して、暑さにある程度慣れるようにする。
高齢者の暑熱順化における特有の生理的特徴
生理的反応 | 高齢者の変化・問題点 |
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発汗能力 | 低下(汗をかきにくく、体温が上昇しやすい) |
皮膚血流 | 減少(放熱効率が悪くなる) |
循環調節 | 心臓や血圧調節機能が低下しており、急激な温度変化に弱い |
渇きの感覚 | 減退(脱水を自覚しにくい) |
暑熱順化は、体が高温環境に適応し、体温を効果的に調整する能力を高めるプロセスです。
このプロセスにおいて、発汗は重要な役割を果たします。
<発汗メカニズムのプロセス>
1. 体温の上昇 [高温環境] ⇒[体温上昇]
• 環境温度が高くなる、または運動などによって体内で熱が生成されると、体温が上昇します。
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2. 視床下部の役割 [視床下部が感知]
• 体温が上昇すると、脳の視床下部(ししょうかぶ)がその変化を感知します。視床下部は体温調節の中枢であり、体温を一定に保つための指令を出します。
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3. 発汗腺の刺激 [自律神経系の刺激]⇒[汗腺の活性化]
• 視床下部からの指令により、自律神経系(特に交感神経)が活性化され、汗腺(主にエクリン腺)が刺激されます。これにより、汗が分泌される準備が整います。
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4. 汗の分泌 [発汗]
• 汗腺から汗が分泌され、皮膚の表面に到達します。汗は主に水分と塩分(ナトリウム)で構成されています。
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5. 蒸発による冷却 [皮膚表面での蒸発]
• 汗が皮膚の表面で蒸発する際、熱を奪うため、体温が下がります。この蒸発冷却が体温調整の主要なメカニズムです。
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6. 暑熱順化の進行 [体温の低下]
• 繰り返し高温環境にさらされることで、体は発汗の効率を高め、汗腺の数や機能が向上します。これにより、より少ない水分で効果的に体温を調整できるようになります。
まとめ
暑熱順化における発汗メカニズムは、体温の上昇から始まり、視床下部がその変化を感知して汗腺を刺激し、汗を分泌させることで体温を調整します。繰り返し高温環境にさらされることで、体はこのプロセスを効率的に行えるように適応していきます。
暑熱順化の山行 At. 本宮山 2025.5.22(thr)
4/13、残雪の北アルプス唐松岳から早一月半、山はすっかり新緑のすがすがしい時期を迎え、夏山モードへの切り替えの為、今年初となる地元、愛知県新城市の本宮山789mへ!(^◇^;)💦
山頂眺望
砥鹿神社奥宮 「御神木」
(暑熱順化完了)💦💦💦
真実を観る「眼力」43 利他と利己2 ホセ・ムヒカ(元ウルグアイ大統領)に観る利他
「世界一貧しい大統領」として知られた
南米ウルグアイのホセ・ムヒカ元大統領がお亡くなりになりました。89歳でした。
ウルグアイの第40代元大統領、
ホセ・アルベルト・ムヒカ・コルダーノ。愛称はぺぺ。
報酬の大部分を財団に寄付し、月に約1000ドルで生活していたため、「世界でいちばん貧しい大統領」として知られることになりました。
「私は少しのもので満足して生きている。質素なだけで、貧しくはない」
ムヒカ氏は若かりし頃、革命に燃えるゲリラ戦士でした。貧困層出身のムヒカ氏は、青年期から貧困と格差が生む社会に疑問を抱き、左翼ゲリラとして行動。何度も投獄され、脱走を繰り返し、過酷な拷問を受けた経験もあります。
<ホセ・ムヒカ元大統領が、若き日の左翼ゲリラ活動家(トゥパマロス)から、国民を第一に考える「実践的で寛容な民主主義者」へと変化していった背景>
(若き日の「武装闘争」とその挫折)
ムヒカ氏は1960年代、貧困や不平等に抗議するため、都市型ゲリラ組織「トゥパマロス」に参加。貧困層の権利を武力で守ろうとしました。
複数回の逮捕・脱獄の後、1970年代の軍事政権下で13年間投獄され、そのうち10年以上を独房や非人道的な環境で過ごしました。
【獄中体験】
→ 自由を奪われた時間の中で、「暴力による革命は真の変化を生まない」と実感し、人間の尊厳・対話・多様性の尊重こそが重要であると気づいていく。
独房で、人間とは何なのかと、何度も自分に問いかけ長い投獄生活で、内省し続け、確固とした信念を持つことに!
「すべては孤独な月日のおかげだ。人は好事や成功より、苦痛や逆境からより多く学ぶのだ。」
4度目の投獄から13年ぶりに釈放され、どんな拷問にも屈しなかったムヒカ氏は、熱狂的な市民に迎えられた。
【釈放後、政治参加への移行】
1985年の民政復帰後に釈放。トゥパマロスの元構成員たちは政治政党「ムヘール(広範な左翼連合)」を結成。
次第に、「過激な理想より、現実に根ざした政治が必要」と考えるようになり、穏健化していく。
【民主主義の尊重と再評価】
→ 独裁政権と自らの過去を見つめ直し、「敵を倒すよりも、共に生きる道を探る方が難しく、だが価値がある」と気づく。
「私は、たとえ私たちにひどい仕打ちをした人々でも憎もうとは思わない。憎しみは何も産まないからだ。私はあの獄中生活の中で学んだ。人はわずかなものしか持っていなくても幸せになれることを。」
【農民としての生活と思想の深化】
投獄後、政治家になる前は小さな農園で自給自足に近い暮らしをしていた。
この体験から、彼は「本当に豊かな生き方とは何か?」を深く考え、物質的な豊かさより「質素さ・連帯・自由」を重んじる哲学に至る。
【生活実感と哲学の融合】
→ 「消費社会」や「グローバリズム」を内在的に批判し、持続可能性と人間の幸福を政治の軸に据えるようになる。
その後、政治家として活躍し、
【2010年からウルグアイ大統領に就任】
「大統領就任後の実践」
2010~2015年の大統領在任中も、質素な暮らしを続け、給料の大半を寄付。公用車を使わず、愛車のビートルを運転。
イデオロギーよりも、国民の暮らしに直結する実利的・倫理的な政策を重視(教育、農業、貧困削減、同性婚合法化など)。
【「国民を最優先する」政治理念の完成】
→ 左右の枠を超えた実用的政治と、「言葉と行動の一致」が国民の信頼を集めた。
格差の解消に努め、大麻の合法化や中絶、同性婚の合法化など、先進的な政策を打ち出した。
ムヒカ氏が世界的に知られる理由は、その質素な生活にありました。大統領官邸に住んで42人の職員を雇うぐらいなら、学校のために経費を使いたいので大統領官邸には住まないと、首都郊外の質素な住居で暮らしていました。大統領在任中も収入の9割を貧困層に寄付し、生活費は毎月1千ドル(約15万円)程度だったため、マスメディアは彼を「世界で一番貧しい大統領」と呼びました。ムヒカ氏の個人資産は、愛車の水色のフォルクスワーゲンビートルとトラクター、そして農地のみ。
「大統領は、多数派が選んでくれたんだから、多数派と同じ生活をしなきゃいけない。」
「我々はあの世に何も持っていけない。後世に教育を残すのです。」
ムヒカの思想変化は、
「暴力革命」→「政治参加」→「生活哲学の深化」→「倫理的な民主政治」という流れを経ています。
これは単なる「思想の転向」ではなく、実体験と苦悩に裏打ちされた人間的・倫理的成長の結果、「理想を現実に活かす方法を変えた」ものでした。
<名言(ムヒカ語録)>
「貧乏な人とは、少ししか物を持っていない人ではなく、無限の欲望があり、いくらあっても満足しない人のことだ。」
「多くのものを必要とする者が貧しいのだ。多くを求めれば人生の時間はいくらあっても足りなくなる」
「現代の超消費主義のおかげで、私たちは最も肝心なことを忘れてしまい、人としての能力を、人類の幸福とはほとんど関係がないことに無駄使いしているのです。」
「人は物を買う時は、お金で買っていないのです。そのお金を貯めるための人生の裂いた時間で買っているのですよ。」
「人間は命のあるものからしか幸せにしてくれないものなんだ、モノからでは幸せにしてくれない。」
「もので溢れることが自由なのではなく、時間で溢れることこそが自由なのです。」
「美しく生きるために戦ってください。人生の中で立ち止まって鏡をみる瞬間があるでしょう。市場に振り回され、物を買うことに追われると、自由が失われていくのです。」
「若い皆さん、皆さんには2つの選択肢があります。ひとつはただ生まれたから生きるということ。もうひとつは、私達自身の人生を操縦することです。」
「人間と他の生きものの生き方の違いは、あなた自身がある程度人生の方向性を決められるところです。自分自身で己の道を築くことができるのです。生まれたまま生きる植物ではないのです。」
「エゴにブレーキをかけてください。自分自身に向き合ってください。人は1人では生きていけない。生まれてきた奇跡に感謝して、人生を愛し、家族そして子どもを愛して向き合う自由を大切にしてください。愛のために生きてください。」
「世界を変えるのは難しい。でも、何かを残すことはできる。人生で最も重要なことは勝つ事ではありません。歩み続けることです。つまづいて何度転んでも立ち上がり、また歩み始めること。自分の道を歩むことを恐れず、強い心を持ってください。希望のある人生を!!」
「私たちは発展するために生まれてきているわけではありません。幸せになるためにこの地球にやってきたのです。」
「命ほど価値のあるものはありません。どうか幸せのために戦って下さい!幸せとは人生を意味のあるものにし、人生の方向を定めること、奪われてはいけません。そのためのレシピなどないのです。この世に奇跡的に生まれたという素晴らしい機会を活用すれば、幸せはあなたの心の中にあるでしょう。」
「人生は短いし、すぐ目の前を過ぎてしまいます。命よりも高価なものは存在しません。」
「限りある人生を生きて、人生を愛し、どんな境遇であろうと人生のために戦い、それを伝えようとする美しさです。人生は受けとるがままではなく、何より持っているものを与えるものだからです。どんな悲惨な状態でも、常に他人に与えられるものはあるのです。」
「不躾ですが、鏡でご自身を見つめ、現実と関わることです。それは若くても、年寄りでも中年でも出来ることです。世の中を男女で分ける必要はないし、黄色や黒といった肌の色で分けるべきでもありません。むしろ二つの部門に分けるべきなのです。関わり合う人と、関わり合わない人に。関わり合うということは、お互いに理想を抱くことです。」
<2012年のムヒカ大統領 リオ+20スピーチ(要約 & 抜粋)>
『人間は、幸福になるために地球上に生まれてきたはずなのに、私たちは「成長」や「消費」の奴隷になっている。』
『現代文明は「浪費型」であり、持続可能ではない。』
『私たちは消費社会を築きました。でも、消費が経済成長を促すために必要ならば、果たしてその社会は永続できるのでしょうか?』
『貧困と闘うというのなら、まず我々のライフスタイルや価値観から変えなければなりません。開発とは、ただの市場や消費ではなく、人間の幸福と調和していなければなりません。』
・・スピーチの核心的なメッセージ・・
『幸福は「もっと多く持つこと」ではなく、「少なくても満足すること」にある。』
『経済や市場は、私たち人間に仕えるためにあるべきであって、その逆ではない。』
『環境問題も社会問題も、突き詰めれば「私たちの生き方」の問題である。』
『私たちは「成長」を追い求めることが絶対的な善であるかのように信じ込まされています。しかしその成長とは、限りある地球資源をいかに早く消費できるかという競争ではないでしょうか?』
『私たちは消費するために生まれてきたのではなく、幸せになるために生まれてきたのです。』
『市場経済が私たちの社会の中心に置かれ、気がつけばそれが「市場社会」と化しています。この社会では、あらゆるものが商業化され、人間の命さえもコストや効率で測られるようになってきています。』
『経済は、人間の幸福のためにあるべきであり、その逆ではないのです。』
『私たちはこの地球上で、ただ生きているのではありません。愛するために生き、子どもを育て、友と語り合い、自由を楽しみ、人生を味わうために生きているのです。』
『経済や技術はそれらを助ける道具であるべきであって、人間が道具に使われるようになってはならないのです。』
『私たちは、自然と共生することを学ばなければなりません。』
『人類は、自然の一部であり、自然に従って生きるべき存在です。自然なしには、私たちは存在できないのです。しかし今、私たちはまるで自然を敵のように扱い、利用し尽くす対象としてしか見ていません。』
『私たちの文明は、大量生産・大量消費を前提としたライフスタイルを構築してしまいました。しかしそれは、人間の本当の幸福や生きがいとはかけ離れてしまってはいないでしょうか?』
『真の自由とは、欲望をコントロールすること。もっとたくさん得ることではない。少なくても満足することができれば、人生はより豊かになる。』
『私は豊かさとは、「物を持つこと」ではなく、「時間を持つこと」だと考えています。たとえ高価な車や家を手に入れても、それを維持するために人生の時間をすべて捧げなければならないとしたら、それは本当に「豊か」なのでしょうか?』
『自由とは、自分の時間を持つこと。人生を生きることだ。』
『私たち政治家の役目は、人々をより幸福に導くための仕組みやルールを整えることであって、企業の利益のために働くことではありません。』
『進歩と開発を否定しているわけではありません。科学や技術の進歩は素晴らしいものです。しかし、それらが人間のために使われなければ、意味がないのです。』
『人類は、文明を再設計しなければならない時に来ている。』
『私たちは、物質的な富ではなく、精神的な豊かさと自然との調和の中で、持続可能な社会を築かなければなりません。』
『私たちは、次の世代によりよい地球を引き継ぐ責任があります。』
それこそが、政治であり、人間としての務めなのです。
2016年4月5日、ホセ・ムヒカ氏(ホセ・アルベルト・ムヒカ・コルダノ氏/Jose Alberto Mujica Cordano)が初来日、
<東京外国語大学の講演 2016年4月7日>
(「生きる」とは、奇跡であり、死に向かって歩むことでもある)
今、いろんな価値観がありますけれども、もっとも重要な価値観は「生きている」ということ。なぜなら、生きていること自体が奇跡だからです。
なぜ奇跡なのか? 無限の奇跡とも言えると思いますけれども、なぜならば、今これから生まれるであろうチャンスがいっぱいあるからです。そしてまた、宇宙全体を考えたときに、いろんなかたちでのチャンスがあるからです。そういうチャンスを与えられてること自体が奇跡だと私は思うのです。
さまざまな人間は意識があります。記憶も人間にはあります。情動も感情もあります。思考もあります。文化を創り上げることもできます。文明を創ることもできます。そして、理性的に考えることもできます。抽象的に考えることもできます。そして、それでも、私たちは文明の一部にすぎないのです。
自然は、私たちに対して特権を与えてくれました。おそらく「私たち自身のことを考えろ」という意味で、私たちにこういった特権を与えてくれたのだと思います。
(人間は自分自身の人生の道を築くことができる)
人間の人生は他の生き物の一生とは違うものがあります。というのは、ある程度まで、私たちは何かを創ることができる。すなわち、自分自身の人生の道を築くことができるからであります。なぜなら、私たちには意識があるからであります。
そのほかの動物はどうでしょうか? このような可能性をほかの動物は持っていません。いずれにしても、私たちは存在の方向性というものを作ることができるのです。
2つの選択肢があるのです。1つは、「生まれたから生きる」ということです。いずれのほかの生き物すべてと同じように、であります。また、もう1つの選択肢というのは「そこから出発して、私たち自身の人生というものを方向づける」。
そしてまた、それを自分自身で操縦していくということであります。すなわち、この奇跡のような生をうけたということの大義のために生きるのであります。
しかし、そのことは私たち自身の意思にかかっていることなのです。私たちがいかにコミットするかということに関わっているのです。すなわち、内部でどのような決断をするかということであります。
私たちはこれだけ多くのものを受け取ったのです。それであれば、私たちは、何かを今後の世代の人たちに残すことができるよう、貢献することができるのではないでしょうか?
だからこそ、私たちは「これからやってくる世界が、私たちが今生きている世界よりもよりよいものにしよう」という意思を持とうではありませんか。
(地上にあるもっとも重要なものは“愛”)
みなさんの人生の時間、例えば、若い時には愛のために多くの時間が必要でしょう。この愛というのは地上にあるもっとも重要なものなのです。人生の動力となるものです。もしもパートナーがいるのであれば、もし子供がいるのであれば、時間が必要です。子供に向き合う、子供と一緒になる時間が必要です。
もちろん物質的な必要性というものもあります。でも、もっと重要なのは、時間を持って、親愛を示す時間が必要なのです。モノというのは、親愛、愛というものをくれません。そうではなくて、「生きる」ということが愛をくれるのです。そのために時間が必要です。
しかしながら、この人間というのは欲のたくさんある動物であります。アリストテレスが言ったように、人間というのは政治的な動物です。なぜならば、他のものが必要だからです。例えば、1人で生きること、孤独で生きることはできないのです。あなたの存在というものは、そのほかのもの、社会の他者があるからこそ可能であり、また、確実なものとなるのです。
ここで貧しい人、かわいそうな人というのはコミュニティがない人であります。すなわち同伴してくれる、一緒に生きてくれる、その人のグループであります。なぜならば、一番大きな貧困というのは孤独だからです。貧困というのはモノの問題ではありません。それはこの人生というものを共有するということが重要なのです。
(人生のすべてを市場に委ねてはいけない)
私たちの人生のすべてを市場にまかせてはいけません。私たちの人生、そして人生の冒険のすべてを市場の手に委ねてはいけません。
私たちは文明を築き上げました。そして、文明の発展の速度が、創造の速度がどんどん加速度的に早くなっています。そして、本来ならば、その速度にリミット、制限をつけなければいけないけれども、現在はそれを統治する術もなく、その市場の力が、まるで自立的な生き物のように、まるで動物のように1人で加速度的に進んでいます。
ある物語で、地球をひっくり返す魔術の棒を見つけた。でも、ひっくり返したはいいけれども、ひっくり返したあとにそれをもとに戻す術を知らなかったという話がありました。今、そのような状況が起こっています。
(私たちは環境破壊を止める術を知らない)
私たちがこれから先、何が起こるのかわからない、という状況もあります。私たちは自分たちの人生を統治できるように、支配できるようにしなければいけないはずですけれども。でも、私たちは市場の力を現在統治できないくらいになっています。
世界中で1分間に200万ドルが軍事予算に使われています。しかし、これが最悪なのではありません。最悪なのは、こういった方向性を止めることができないことです。これはすべて何を意味してるんでしょうか? こういった例を数限りなくあげることができます。
でも、すべてに関して私たちはブレーキをかけられない。その結果、世界中の85人から100人のお金持ちが、300人の人の富と同じくらいの富を占めるようになってしまった。例えば、いっぱいお金を持っている人、あるいは富裕者から、何か学ぶことができるのでしょうか?
(私は貧しいわけではなく、質素が好きなだけ)
みんな、私のことを貧しいと言いますが、私は貧しいわけではありません。私は質素なだけです。以前は「慎ましい」(austerity)と言ってましたけれども、それはもう好きではありません。
「austerity」はヨーロッパの緊縮政策と結び付けられるので、今は好きではありません。私は単に質素が好きなだけです。私にとって重要なモノさえあれば、十分なのです。
質素であるほうが、私が本当にしたいことができる時間があるからです。私にとって大切なのは、例えば社会運動もそうですけど、ほかの人にとっては絵を描くことが大切かもしれません。
そういう時間を過ごすことが自由であるということです。本来の自由というのは、自分がしたいことをできるというのが自由です。
ほかの人に強制することなく、ほかの人の考え方を阻害することなく、それぞれの人の考えを尊重したなかで、自分がやりたいようにできること、ほかの人がやりたいようにできること。それが自由です。
そのために必ずしもモノが必要なわけではありません。ですから、本当に本当に必要なモノがあれば十分なわけです。
市場に操られてどんどん必要なモノが増えてしまうと、それは決してあなたは自由ではなくなります。なぜならば、あなたの大切な時間が、その市場によって失われてしまうからです。そして、あなたが欲しいモノを買うためにあなたの自由な時間が失われてしまうのです。
みなさま方自身が自分にとって何が一番大切なのか、何が一番いいのかを考えてほしいのです。
(誰でも抱える矛盾をいかに抑えていくか)
私たちは2つの矛盾する力によって作られています。すべての生命は誰でもエゴイズムを持っています。例えば、自分を守るため、あるいは自分が大切に思う人を守るために、エゴイズムというものがあります。エゴイズムというのは、自然が私たちに与えてくれた、ある意味では自然のものでもあります。
ただ、また同時に、もっと違った素晴らしい遺産を持っています。それは文明であったり、文化であったり、知識であったり。それは前の世代が築き上げたものであります。前の世代が築き上げた文明です。そして、世代間の団結、あるいは連帯です。
だからこそ私たちは、そういった大切な感情を中に秘めています。そういった感情を教育によってさらに精度を高めることができます。そして、正しく生きることによって、そういった感情を高めることができます。
それを高めることによって、自分で自分のエゴにブレーキをかけることができるわけです。そして、重要な教訓を学ぶこともできるのです。
一番大切なのは、ともに助け合うこと。そして連帯、協力です。それは男性、女性含めてすべての人間の協力であって。それが創造力になり、モノを創る力になります。そして、チームワークで働くからこそ、私たちの人生をよりいいものにすることができるのです。そういった意味で他者の存在というのは非常に大切です。
こういった、私たちが誰でも抱える矛盾をいかに抑えていくか、支配していくか。
(人生でもっとも重要なことは「歩き続けること」)
もっとも重要なことは勝利することではありません。人生でもっとも重要なことは「歩く」ということです。歩き続けることです。
すなわち転ぶたびに起き上がる。それから、また新たに何かを始める勇気を持つ。何かに打ち負かされたときに、また立ち上がる、ということです。
すべての分野で重要なことは愛です。愛というものを私たちは生きるべきです。例えば、仕事があります。そしてまた何かが起こって、そしたまた、例えば収監される。そしてまた、牢獄に入れられる。
しかしながら、またそこから開放される。そしてまた、生き始める。そして、息をすることができる。いずれにしても、あなたの体が動くうちは、毎朝体が動く、そして生きているという、この奇跡というものを歌い上げるわけです。
人間より強い動物というのはいません。非常に素晴らしいものです。しかしながら、それで自分自身を満足してはいけません。学ばなければなりません。そして、つねに心を持って行動しなければなりません。
すると、大きな教訓を得ることができます。完全に勝利を収めることは絶対にありえないのです。つねに何か欠けているものが出るでしょう。しかしながら、絶対に完全に敗北するということはありません。
実際にどういうことで勝利を得ることができるのかといえば、それは、意思を持って生きるということです。それは例えば、この人生の最終地点に、何らかのゴールとしてのアーチがあって、そこに到達するということではありません。
そうではなくて、自分自身が意思を持って生きるということです。そしてまた、生きる力によって立ち上がるのです。
(人生を1人で歩まないでください)
私たちはこの「生きる」という奇跡を得ています。みなさん、どうぞよく生きてください。そしてまた、毎晩あなたのベッドに入ったときに、例えば5分間使って、その日1日のことについて考えてください。
なぜならば、それぞれ自分自身の中に、それを評価する、審判する者がいるからです。ですから、自分自身に聞いてください。良かったのか、悪かったのか。そしてまた、それをもとに、より良い明日を築くようにしてください。
それから、ぜひ家族を持ってください。家族というものは、単純に血のつながった家族ということではありません。そうではなくて「考え方の家族」という意味です。同じように考える人です。人生を1人で歩まないでください。
ですから、なんらかの情愛、それを1つも持たないと、1人で歩かなければならないことになるでしょう、非常に重い孤独の中で。
もしほかの人に対して非常に大きな要求をするとなればどうなるのか。人間というのは完璧なものではないので、友人を得ることができなくなるでしょう。そして、1人で歩かなければならなくなるでしょう。
ですから、例えば社会というものを得る場合には、寛容性が必要であるとも言えます。なぜなら、人間というのは完璧ではないからです。だから、寛容性が必要なのです。
(金融が肥大化しても生産は大きくならない)
現状、私たちの身の上にはさまざまな問題があります。非常にグローバル化した世界に私たちは生きています。私にとっては、2つの基本的な問題が感じられます。
まず1つは、金融資本が爆発的に大きくなっているということです。それが「通貨をもとにした生活」を大きく変えているのです。
これはまさに、お金が重要になっている。そして、お金を得るために、人生のなかで大忙しで、あっちに行ったり、こっちに行ったりとしているわけです。
この金融の資金が非常に多くある場合、しかしながらそれは、例えば生産を大きくするものではない、ということもあるわけです。経済はこの金融を中心に成り立っている。それによって公共をなくし、みんなが忙しく動き回るようになった。
そして現在、非常に大きな困難が世間の中にあります。非常に莫大な量のお金があります。これはさまざまなかたちで、投機的に使われています。大量のお金です。すなわち、それらは単純に生産に向かっているわけではありません。
またもう1つ、ほかにも深刻な、重大な問題があります。私たちの文明のガバナビリティー(統率力)というものがない、ということです。
(自分自身を鏡で見るとき、そこに映るものは自分のエゴイズム)
自分自身を鏡で見るとき、そこに映るものは自分のエゴイズムにすぎないのです。その時にあなたは自分自身に対して失望するでしょう。
単純に世界を変えるために、勝つために戦うのではないのです。そうではなく、自分自身の心のなかにあるもののために考えるのです。戦うのです。私たちは感じることができます。
生まれたから生きる。それは馬かもしれないし、犬かもしれないし、そういうものと同じものになってしまいます。あるいは自動的な機械のように生きるのと同じことかもしれません。
でも、私たちには頭があります。心があるのです。ある程度までではありますけども、私たちは自分自身の人生を方向づけることを自分ですることができるのです。
ですから、何かあなた自身を幸せにするものを探してください。他の人を幸せにすることを考えてください。
それは世界を変えるということではなくて、自分自身を変えるということになるのです。例えば、私は世界を変えたかった。でも、現在、私は家の中の掃除をしている。ということがあるかもしれない。世界を変革するのは、かなり複雑で難しいものなのです。
でも、長期的には何かが残るでしょう。大きな闘争、大きな敗北のあとで。そして、その闘争のあとで、世界は違うものになっているでしょう。前とはまったく同じ、ということはないでしょう。
(テレビは利害関係を映し出すもの)
全般的なかたちで唯一私がこれについて申し上げられることは、当然ながら、私たちは市場社会に住んでいます。文明とその周りには、市場の機能があります。テレビがそれらの全体的なものを示しているとも思いません。
しかしながら、「このクリームを使えばシワがなくなる」とか言って、いろいろなコマーシャル、いろいろなプロモーションをするわけです。「こういうものを買いなさい」というようなことがたくさん言われます。
なぜならば、当然、企業というのは予算を組んで、その製品を売るためのいろいろなキャンペーンしなければならないからです。でも、世界の中においては客観性があります。すなわち、客観性ある名誉ということです。
だけど、中立なんてありえないんです。誰も中立であることはありえません。なぜなら私たちは物事を見るときに、自分が考えることに基づいて、いろいろなものを見るからです。ですから、利害と社会階級があるのです。
そして、情報は人間によって作られるものです。ある意味でテレビはそういった利害関係を映し出すものかもしれません。情報は、そういった人たちによって作り上げられているからです。それは現実かもしれません。
ですから、しっかり学ぶ必要があります。自分自身の考え方を、いろんな情報源を当たりながら、自分の考えを構築する必要があります。必ず疑いの目を持って、裏を取る必要があると思います。
私たちはマスコミが大きな比重を占める社会に生きています。テレビのない社会はありません。例えば、テレビに出てこないものは、まるで存在しないかのようです。見かけ上は。
しかし、テレビは世論形成に重要です。今、私は学生、大学生に向けて話しています。一般の市民、一般の市井の人々というのはわりと無邪気で、何か言われたことを鵜呑みにして信じてしまいます。
でも、みなさま方はもっと高い教養を持っている人だとすれば、さらに深い洞察をする義務があります。もっと深く考えること。ほかの人が表面的な部分しか見ていないことを、しっかりと見ていく。そういったことをみなさま方がしなければいけません。それが闘争の一部でもあると思います。
私たちは理性で考えなければいけません。しっかり物事を見なければいけません。それに基づいて、現在、社会に何が起きているのかを、深い洞察をすることによって分析し、それをほかの見えない人に伝えなければいけないと思います。
ですから、よく考えてください。そして、口を閉じないでください。ちゃんと伝える手段を、みなさんは持っているんですから。私は好きじゃないですけど、みなさんが毎日毎日使っている、こういう使える道具(注:スマートフォン)があるんですから。
もちろんバカげたことに使うこともできるでしょう。でも、非常にすばらしい高貴な大義のために、この道具を使うこともできるでしょう。
関連リンク:
「幸せであるということは、生きていることに心から満足していることです。毎日太陽が昇るのに感謝する、幸せとは人生を愛し憎まないこと。」 ホセ ムヒカ氏 2016.4.7東京外国語大学のスピーチより
心のエネルギー循環 2・・・感性を磨く17
<まとめ>
ホセ・ムヒカ元大統領(José Mujica)は、ウルグアイの第40代大統領(2010年〜2015年)、彼の生き方や価値観、政治的姿勢は、現代のグローバリズム社会と大きく対照をなすものでした。
(ムヒカ元大統領の考え方)
1. 質素な生活
物質主義に反対し、「幸福は物にあるのではない」と繰り返し述べていた。
2. 人生観・哲学
自由と人間の尊厳を何よりも重視。
「自由とは、自分の時間を持つこと」と考え、労働や消費に縛られない生き方を提唱。
(政策)
1. マリファナ合法化
犯罪組織の資金源を断ち、国が管理することで安全性と透明性を確保。
2. 同性婚の合法化
すべての人の愛と権利を尊重する姿勢を示した。
3. 中絶の合法化
公衆衛生と女性の権利を重視し、安全な環境での中絶を保障。
4. 貧困削減
社会福祉を拡充し、貧困率を大幅に減少させた。
<ムヒカ氏とグローバリストの相違>
項目 | ムヒカの姿勢 | グローバリズム社会の傾向 |
経済観 | ローカル重視、共有経済 | 消費拡大、経済成長至上主義 |
幸福観 | 質素・時間の自由 | 物質的豊かさ |
政治姿勢 | 国民目線、自己犠牲 | 利益誘導、エリート主導 |
環境観 | 自然と共生、簡素な生活 | 開発優先、資源消費型 |
真実を観る「眼力」42 利他と利己1 中村哲、宮沢賢治に観る利他
「共生」とは、
異質のもの、複数種の生物が、相互関係を持ちながら同所的に生活する現象。共に生きること。
「調和」とは、
全体がほどよくつりあって、矛盾や衝突などがなく、まとまっていること。また、そのつりあい。
現「人間社会」は、超独善的で、超「利己」主義的な支配者が、世界スタンダードを勝手に構築し、被支配者(99%の世界の人々「sheeple」sheep+peopleと呼ばれる家畜人間」)を支配する構造。
*グローバリズムを標榜するグローバリスト(国際金融資本家・既得権益層)が、特定集団の利益をむさぼるために世の中の仕組みを作り、例えばその政策である、DEI、SDGs、LGBTQ+、カーボンニュートラル、グリーンエネルギー、持続可能エネルギー、偽の気候変動、移民受け入れ等等、国際金融エリート達の金儲けのために利用され、グローバリストの実行部隊である「ディープステート(DS)深層政府」が政府や公的機関の内部に潜み、そのネットワークにより現場でその意志を反映させ、政府、国際機関、多国籍企業などの内部から影響力を行使し、グローバリストの計画を推し進める全世界的な支配構造。
「意識に在るもの」、「意識の方向性」は共鳴・共振するEGを引き寄せ、それに相応のエネルギーを引き寄せ具現化、現象化する。
意識の方向性が、
「利己」(執着)なのか、
「利他」(愛)なのか、
「利己的な生き方、行動」が人間社会、地球を完全に破壊してしまわないよう、「利他」、「調和」についての真剣さがすべての人々に問われれている気がする。
中村哲 医師が生涯を通して貫いた利他という生き方
https://mountain-top.jugem.jp/?eid=876
意識の原動から、
「利己」は奪う、収奪、take、
「利他」は与える、愛、give、
利己的意識から引き寄せられるEgは低下、縮小、破壊、消滅の方向、
利他的意識から引き寄せられるEgは向上、拡大、創造、発生の方向、
意識を置くところにEGが集約するのがエネルギーの法則。
give & giveと harmony・・・感性を磨く 28
https://mountain-top.jugem.jp/?eid=448
利他の詩
『雨ニモマケズ』 宮沢賢治
雨にも負けず
風にも負けず
雪にも夏の暑さにも負けぬ
丈夫な体を持ち
欲はなく
決していからず
いつも静かに笑っている
一日に玄米四合と
味噌と少しの野菜を食べ
あらゆることを
自分を勘定に入れずに
よく見聞きしわかり
そして忘れず
野原の松の林の陰の
小さなかやぶきの小屋にいて
東に病気の子供あれば
行って看病してやり
西に疲れた母あれば
行ってその稲の束を負い
南に死にそうな人あれば
行って怖がらなくてもいいと言い
北に喧嘩や訴訟があれば
つまらないからやめろと言い
日照りのときは涙を流し
寒さの夏はオロオロ歩き
みんなにでくのぼうと呼ばれ
褒められもせず
苦にもされず
そういう者に
私はなりたい
真実を観る「眼力」41 コロナワクチンと情報統制による洗脳効果
コロナワクチン接種に関する洗脳のプロセスは、さまざまな手法が組み合わさって行われました。
これにより、ワクチン接種が社会的に受け入れられ、強制的に受け入れさせるような環境が整えられたと考えられます。
<コロナワクチンを強制的に受け入れさせるよう仕向ける洗脳の手法>
1. フレーミング効果(善悪、道徳的二項対立)
同じ事実でも「どう伝えるか」で受ける印象が変わります。マスコミは報道の枠組みを操作して、感情や判断に影響を与えます。
「ワクチンを打つヒト=良い市民・命を守るヒト」
「打たないヒト=非協力的・利己的・反社会的」このようなフレーミングによって「反対=悪」という空気感を社会に醸成します。
⇒ ヒトは社会的孤立を恐れるため、内心は疑問があっても表だって反対しずらくなります。
2. 社会的証明と同調圧力
【社会的証明】
• 著名人や専門家の支持: 医療専門家や著名人がワクチン接種を受ける様子が報道され、彼らの行動が「正しい」とされることで、一般の人々も同様の行動を取るよう促されました。
【同調圧力】
• 集団行動の強調: 「みんなが接種している」というメッセージが強調され、個人が集団の一員としての責任を感じるように仕向けられました。
「みんなが打っている」「接種率90%」などの統計やグラフを強調することで、少数派の抵抗を沈黙させる。
⇒ "みんながやっているから正しい”という「社会的証明」の心理が働きます。
3. 感情への訴求( 感情的なアプローチ)
理屈よりも「恐怖・怒り・正義感」などの感情に訴える報道は理性的判断を麻痺させ、集団的同調を引き起こします。
【恐怖と希望の二重操作】
• 恐怖の喚起: 「打たなければ感染・死亡・他人を危険にさらす」など感染症のリスクや重症化の可能性を強調することで恐怖感を与え、ワクチン接種の必要性を感じさせました。特に、重症化した患者の映像や統計データが使用されることがありました。
• 希望・安心感の提供:「打てば自由に行動できる」「元の生活に戻る」などの希望や、ワクチン接種によって得られる安心感や社会的な責任感を強調することで、接種を促進しました。
⇒ 恐怖と報酬を使い分けることで、条件反射的な行動選択を誘導します
(オペラント条件付け)
4. 情報統制とレッテル貼り(情報の選択的提示)
メディアは情報を取捨選択(選択的報道)し、都合の悪い部分は削除、強調したい情報だけを報じ(編集バイアス)、印象操作をします。
【ポジティブな情報の強調】
ワクチンの効果や安全性に関するポジティブな情報が強調され、ワクチン接種のメリットが繰り返し報道されました。これにより、ワクチン接種が「正しい選択」であるというメッセージが強化されました。
【ネガティブな情報の抑圧】
ワクチンに関する懸念や副作用の情報は、あまり報道されないか、軽視されることが多かったため、反対意見が目立たなくなりました。
・疑問や批判的意見に「陰謀論」「反ワクチン」とレッテルを貼って一括排除
・GoogleやSNSのアルゴリズムで懐疑的な情報を埋もれさせる
・医師や専門家の異論も"非支流”として報道しない
⇒ 情報空間を制御することで「一方的な正しさ」が成立します。
【疑念の解消】
ワクチンに対する疑念や不安を持つ人々に対して、ポジティブな情報を提供することで、その不安を解消しようとする試みが行われました。これにより、個人は新しい信念を受け入れやすくなります。
【沈黙の凱旋〔Noelle-Neuman〕】
少数派が「自分の意見は異常かもしれない」と沈黙し、多数派の声だけが目立つ現象。マスコミが特定の意見ばかりを報じることで、異論が表に出にくくなります。
5. 日常的な圧力(間接的強制)
- 接種証明がないと入場・搭乗できない
- 学校・職場・自治体での接種「推奨」=事実上の義務化
- 周囲の目 (まだ打ってないの!?)
⇒ 法的には任意でも、社会的・実質的な強制力が働く構造になっています。「現代的な洗脳」は選択肢を残しつつ、従わせる、旧来のような暴力的強制ではなく、「本人が選んだと錯覚させる環境操作」が中心です。
6. 繰り返し効果(単純接触効果)
メッセージの反復: ワクチン接種の重要性に関するメッセージが繰り返し報道されることで、視聴者や読者の脳にそのメッセージが定着しやすくなります。同じ情報を何度も目にすることで、内容に慣れ、信じやすくなる心理的効果です。事実でなくても「よく聞くから正しい」と錯覚します。
「コロナ感染は死の危険性」「コロナ予防はワクチン接種」など、短いスローガンを繰り返し報道。
7. 情報の拡散とフィルターバブル(現代の洗脳形態:SNSによる拡張)
近年はマスメディアだけでなく、SNSアルゴリズムも洗脳に近い構造を生んでいます。
• SNSの利用: SNSプラットフォームでは、ワクチン接種を支持する情報が拡散されやすく、同じ意見を持つ人々が集まりやすい環境が形成されました。これにより、反対意見が排除され、特定の信念が強化されるフィルターバブルが生じました。
・閲覧履歴に基づくフィルターバブル
・「バズる」情報が真実のように扱われる
・ボットによる世論形成
・陰謀論やフェイクニュースの大量拡散
<過去から行われて来た洗脳>
【プロパガンダの戦略(特定の思想・価値観・行動を人々に無意識のうちに受け入れさせるように戦略的に情報を操作・誘導する心理操作)】
・大衆は感情で動くため、事実よりも印象を重視せよ
・敵を明確化し、単純な善悪構造を作れ
・繰り返せ。真実であるかのように刷り込め
・反対意見を排除する「空気」を作れ
・教育とメディアの掌握が最優先
<WHO(世界保健機関)や厚労省の公的機関がワクチン接種を「事実上の義務化」に近づけていく戦略>
WHO(世界保健機関)や厚生労働省のような公的機関が、ワクチン接種を法的強制ではない形で「事実上の義務」に近づけていく手口には、巧妙な心理的・社会的操作が含まれています。
(戦略)
1. 「専門家の科学的コンセンサス」として提示する
- ワクチンに関する意見は「専門家による科学的判断」として提示される。
- 異論や少数意見(安全性・長期効果への疑問など)は「非科学的」として排除される。
- WHOや厚労省は「科学的で中立」という権威を前提に情報を発信し、それに疑問を持つこと自体が「非理性的・非社会的」となる構図を作る。
⇒ 権威への服従(ミルグラム実験のような効果)
2. ガイドライン形式で実質的強制
- 「強制ではないが、〇〇の場面で推奨される」「〇〇を利用するには接種証明が必要」といった形で義務に近い運用を導入する。
- 学校、職場、施設運用者などが厚労省のガイドラインに従うことで、末端での強制力が生まれる。
例:接種証明がないと高齢者施設での面会不可、大規模イベントの参加にワクチン証明を要求、公務員や医療従事者への接種「強い推奨」
3. メディアとの連携による世論形成
- 厚労省・WHOは記者クラブや医療ジャーナルと連携し、報道の内容とトーンを統一させる。
- テレビ・新聞・ネットニュースでは「副反応より接種のメリットが大きい」「デマに注意」などが繰り返される。
⇒ 意見が揃っているように見せ、反対派に「孤立感」「違和感」を与える。
4. 社会的圧力を利用する(自己検閲の促進)
- 厚労省や自治体が「若者の接種が広がれば高齢者を守れる」といった道徳的訴求を行う。
- 自由意志を尊重するように見せながら、実際には「迷う=無責任」という印象を植え付ける。
⇒ 周囲が打っているのに自分が打たないと、「利己的」と見られる不安から自発的に従う。
5. フェイクニュース対策を口実にした反論封じ
- WHOは「インフォデミック(情報のパンデミック)」と呼び、誤情報を制限する正当性を主張。
- SNSやYouTube等と連携し、「ワクチン懐疑的」な動画や投稿を削除・警告対象に。
- 厚労省も「正しい情報提供」の名目で、異論を「陰謀論」や「誤情報」として扱う。
公的機関がワクチン接種を「事実上の義務」に近づけていく手口は、強制ではなく「選ばされる」構造を作り、法律で「強制」はしないが、選択肢を狭め、空気・制度・ルールで「従わせる」仕組みをつくります。
これは「社会工学的なマネジメント」とも呼べる現代的な統制技術です。
厚生労働省(厚労省)および世界保健機関(WHO)は、新型コロナウイルスワクチンの接種促進において、情報発信や広報活動を通じて国民の行動を誘導する戦略を展開しました。 これらの取り組みは、直接的な強制ではなく、社会的・心理的な手法を用いて「自発的な同調」を促す形で行われました。
<厚労省のワクチン接種促進のための広報戦略>
1. PR会社との連携による世論形成
2021年2月から2024年3月にかけて、厚労省は大手PR会社と契約し、ワクチン接種促進のための広報プロジェクトを実施しました。 このプロジェクトでは、医療系インフルエンサーを起用し、SNSやメディアを通じて接種の重要性を訴える情報発信が行われました。 また、メディアの報道やSNS投稿をモニタリングし、「非科学的」と判断される情報に対しては、報道機関への申し入れや訂正要請を行うなど、情報のコントロールも行われていました。
2. 情報公開の不透明性
この広報プロジェクトに関する報告書は、情報公開請求に対してほぼ全面的に不開示とされ、具体的な実施内容や効果の検証が困難な状況です。 これにより、国民に対する情報提供の透明性や説明責任が問われています。
<WHOのインフォデミック対策>
WHOは、新型コロナウイルスに関する誤情報や偽情報(インフォデミック)への対策として、以下のような戦略を提唱しています。
1.健康情報の信頼性向上とデジタルリテラシーの強化
保健医療従事者に対する誤情報の識別と対応能力の向上
特定の集団に合わせた健康情報やデジタルリテラシーの教育
高品質でアクセスしやすい健康情報の提供
2.オンラインプラットフォームとの協力
SNSや検索エンジンと連携し、誤情報の拡散を防止
オンライン上の有害なコンテンツの継続的な監視と対応
コミュニケーションキャンペーンを通じたインフォデミック対策の推進
<まとめ>
厚労省とWHOは、それぞれの立場からワクチン接種促進のための情報戦略を展開しました。 厚労省はPR会社やインフルエンサーを活用し、国内での世論形成を図る一方、WHOは国際的な視点からインフォデミック対策を推進しました。 これら手法は、情報の透明性や多様な意見の尊重といった観点から、今後の公衆衛生政策における課題として検討されるべき事項であると共に、国際機関および国家・政府による重大な情報統制が行われていたという疑念は、情報の不開示という隠蔽によりさらに増すばかりで、ワクチン接種による死亡、多大なワクチン後遺症、ワクチン接種と超過死亡の関係性などを解明するためにも、その疑義を積極的に払拭する責務は重大であり、自ら晴らさずにいるならば、訴追されるべき深刻な問題に思います。
洗脳(マインドコントロール)は、ヒトの思考や信念、行動を外部から操作・支配する行為であり、主に脳の可塑性と心理的な操作技術を利用しています。
<脳のメカニズム>
1.神経可塑性(Neuroplasticity)
脳は経験に応じて構造や神経回路を変化させる能力があります。繰り返し同じ情報や刺激にさらされることで、新しい思考パターンが形成され、古い価値観や信念が上書きされます。同じメッセージを何度も聞くと(例えばワクチンを打つことは自分及び社会的にも正しい判断)真実味が増し、関係する神経回路が反復刺激され、神経可塑性により信念が強化されます。
(社会的・情報圧力下における脳の「洗脳」プロセス)
ワクチンが強制され続ける
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恐怖刺激
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扁桃体で恐怖反応
恐怖を感じると扁桃体(恐怖反応の中心)が活性化=(社会的圧力下では「罰」(拒絶や批判)の恐れ」が扁桃体で増幅)【脳内回路の書き換え】
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理性・判断の働きの抑制
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ストレス状態になり前頭前皮質(理性・判断を司る)機能低下=(社会的に孤立させたり強圧的な状況では論理的判断が阻害される)
さらに同調圧力による脳の報酬提示がおきると!!
例えば同じ意見を持つ仲間(ワクチンを打つことは自分及び社会的にも大切な責務であるなど)脳内で報酬信号が増強され(帰属欲の充足)、反対意見を示すと(mRNAワクチンは治験も不十分で危険であり打つべきで無いなど)孤立や罪悪感が生じて痛みシステムを刺激する)
⬇
(報酬系活性とドーパミン放出)
行動に対する承認や報酬が与えられると脳の報酬系(中脳ー線条体系の報酬回路が連動)で褒美や肯定的なフィードバックによりドーパミンが放出され「その行動を続けることがよい」と学習してしまう。
⬇
こうして集団の判断に同調(同調圧力による)すると、報酬系で「正しい行動」と学習・強化され、脳はさらにその情報に固執しやすくなる。
*情報が一方向に制限された環境(反ワクの意見を排除するフレーミング)では⇒情報統制や情報操作、圧力により多様な入力が乏しくなり⇒特定の信念を伝える(ワクチン接種は社会善)回路がさらに固定化され⇒他の見解が弱まる(反ワクの意見弱まる)可塑的な書き換えが脳内で起こりやすくなります。
洗脳は極端な環境下や権威との接触、繰り返しの影響によって起こる「思考の再配線」とも言えます。
報酬系活性とドーパミン放出のメカニズムには、脳賦活系(のうふかつけい)という、脳全体を覚醒させ、活動レベルを高める神経系が関わっています。その中でも、脳賦活系のドーパミン回路は、特に以下の2つの重要な働きを担っています。
意欲・動機づけ(報酬系):
- 「快感」と「目標達成意欲」の源: ドーパミンは、私たちが何かを達成した時や、目標が達成されそうになった時などに脳内で放出されます。この放出によって「快感」や「喜び」を感じ、その行動を繰り返そうとする意欲が生まれます。
- ご褒美と学習: ドーパミン回路は、良い結果(ご褒美)と行動を結びつける学習にも深く関わっています。「これをすると良いことが起こる」ということを脳が学習するのは、ドーパミンが重要な役割を果たしているからです。これらの快感が、また同じ行動をしようというモチベーションになります。
<洗脳の心理的な原理>
1.同調圧力
社会的動物でもあるヒトは、多数派に従いたいという本能があります。洗脳は孤立化と集団同調を利用し、被洗脳者が「自分が間違っているのかも」と感じるように仕向けます。
2.繰り返しと刷り込み
同じメッセージを繰り返すことで、徐々にその内容を正しいと感じるようになります。これは「単純接触効果」によるものです。
3.認知的不協和の解消
自分の信念と行動に矛盾があると強い不快感を覚えるため、ヒトは行動を正当化するように考えを変えます。洗脳ではこの矛盾を意図的に作り、思考を変えさせます。
4.疲弊と判断力の低下
情報遮断などにより、脳の判断能力を低下させ、暗示や命令に従いやすくします。
真実を観る「眼力」40 ミラーニューロンで理想を実現する
<ヒトからの影響>
「誰の影響を受けるかが人生を左右する」
私たちの価値観や行動は「誰と一緒にいるか」 によって大きく変わります。
心理学には、次のような法則があります。
ミラーニューロンの法則:「人は周囲の行動を無意識に真似する」
共感の法則:「第三者の感情を観察すると、自分も同じ感情を感じる」
学習の法則:「観察するだけで学習することができる」
人間関係の法則:「周囲の態度や雰囲気に影響を受けやすい」
成功しているヒト、理想的なヒトと一緒にいると、その価値観や行動が自然と身につき、自分の考え方も変わります。
<ミラーニューロンとはどのような働きのある神経細胞か>
(ミラーニューロン)
-
相手の動きや表情を見るだけで
自分の脳も“まねるように”反応する神経細胞。 -
他人の気持ちや行動を「感じる力」の土台となります。
つまり他者の言動を見聞きした時、その他者の言動が自分と共感したり共鳴するものであった場合、ミラーニューロン(鏡のような神経細胞体)に活動電位が発生し、マネ(シミュレーション)する事でその時に相手に起こっている状態を鏡に映すように、同じ反応を自己に起こさせる細胞体なのです。
通常、コミュニケーションは言葉を使った伝達を思い浮かべますが、ヒトのコミュニケーションは、顔の表情やしぐさといった言葉で無い手段を用いる非言語コミュニケーションに負うところが大きく、非言語コミュニケーションにおいては、ミラーニューロンと呼ばれる神経細胞が重要な役割を担っています。
ミラーニューロンは、自分が目にした相手の表情やしぐさを、自分自身の表情やしぐさに重ね合わせる機能を持っていて、まるで他者の行動を自分の脳内で「鏡」のように反映するような働きをすることから、ミラーニューロンという名が付きました。
例えば、
笑顔を向けられたら、自分も笑顔になってしまったとか、
あくびがうつった、
目の前の相手の表情や動作に「つい、つられてしまった」ということも、ミラーニューロンによる脳の機能によるものです。
映画を見て思わず感動の涙を流してしまう、
他人の行動を見て感動する、
など、私たちが他人を理解したり、共感できるのはこの細胞(ミラーニューロン)があるからだと言われいます。
<ミラーニューロンの役割>
ミラーニューロンは、以下のような重要な役割を担っていると考えられています。
- 他者の行動の理解: 他者の行動を自分の運動経験と照らし合わせることで、その行動の意味や目的を理解する助けとなります。
- 模倣学習: 他者の行動を見て、それを真似る(模倣する)ことを容易にし、学習を促進します。
- 共感: 他者の感情表現(表情、身振りなど)を見た時に、自分自身の感情に関連する脳領域も活性化させることで、他者の感情を理解し、共感する基盤となると考えられています。
- 意図の理解: 行動の細部だけでなく、その背後にある意図を推測するのに役立つと考えられています。
- 言語の理解と発達: 特にヒトにおいては、言語の理解や発達にも関与しているという説があります。
<ミラーニューロンの起源>
ミラーニューロンは、1990年代初頭にイタリアのジャコモ・リゾラッティらの研究チームによって、サルを使った実験中に偶然発見されました。彼らは、サルの運動前野(特にF5領域)の神経細胞を調べている際に、サル自身が特定の動作(例:手を伸ばして物を掴む)をした時だけでなく、別のサルや研究者が同じ動作をするのを見た時にも、その神経細胞が活動することを発見しました。
ミラーニューロンの共感の機能は、元々は模倣の機能が転用されたもので、具体的には、飼育員が猿の前でバナナを食べたとき、サルはバナナを食べてないのに飼育員がとった行動を見て、バナナを食べたときに反応する脳部位が反応していました。
この事から、ミラーニューロンは他者の行動を見て、自分が同じことをしているように感じたり、子供が親の行動を見て模倣したり、言語習得をする際にも働いているのではないかと推測され、その動作の意味を理解してまねることで、自分の知識や経験の幅を広げていくことにも役立つとみられています。
特に、ヒトでは生後間もない時から、両親の動作などをまねて、ミラーニューロンが関わる学習をし、ミラーニューロンによる働きが発達しているおかげで、相手の気持ちを理解したり、共感できる複雑で高度なコミュニケーションを可能にしています。
<ミラーニューロンの脳>
ミラーニューロンが作用するために機能する脳部位とその作用機序は、複数の段階を経て複雑に連携しています。
(ミラーニューロンの主要な脳部位)
ミラーニューロンの研究は主にサルで行われてきましたが、ヒトにおいても同様の機能を持つと考えられる領域が同定されています。主要な部位は以下の通りです。
- 下前頭回 (Inferior Frontal Gyrus: IFG):特に弁蓋部 (Pars Opercularis) と 三角部 (Pars Triangularis) が重要です。これは、サルにおけるミラーニューロンが最初に発見されたF5領域に相当すると考えられています。運動の計画、実行、そして他者の運動の観察に関わります。ヒトの言語機能に関連するブローカ野の一部も含まれます。
- 下頭頂小葉 (Inferior Parietal Lobule: IPL): 特に前頭頂皮質吻側部 (Anterior Intraparietal Sulcus: aIPS) が重要です。他者の意図的な行動の理解や、自己と他者の行動の区別に関わると考えられています。
- 上側頭溝 (Superior Temporal Sulcus: STS): 生物学的動作(手足の動き、顔の表情、視線の動きなど)の視覚的な知覚と分析に重要な役割を果たします。IPLへの入力元となります。
- 運動前野 (Premotor Cortex: PMC) および 補足運動野 (Supplementary Motor Area: SMA): 運動の準備やシーケンスの制御に関わる領域ですが、他者の行動観察時にも活動が見られます。
- 一次体性感覚野 (Primary Somatosensory Cortex: S1): 他者の触覚や感情的な表現の観察時に活動が見られることがあり、共感に関与する可能性が示唆されています。
<ミラーニューロンの活用法>
「鏡の法則」の心理学的な側面では、自分の内面(こころ)が発した投影が対人や環境に反映されて、反映された自分の対人関係や環境を観察する事で、自分自身の心の在り方や状態を認識する事ができると言われています。
この様に「鏡の法則」を、自分を取り巻く人間関係も環境も決して偶然の産物でなく、自分の”こころの反映(内面の反映)”として捉える事でも、ポジティブで自立した人生を構築する上で大切な考え方となります。
さらに、ミラーニューロンの働きを意識的に活用することで、身心の発達や成長、他者とのコミュニケーションの改善、学習への活用などに役立たせることができます。
(自己成長への活用)
ミラーニューロンは、他者の行動を観察することで活性化します。理想の人物像を意識的に観察し、可能であれば実際に体験することで、その特性を自己に取り込みやすくなります。観察する際には、視覚だけでなく、聴覚、触覚、嗅覚、味覚など、五感を意識的に働かせることが重要です。例えば、優しい人の声のトーン、落ち着いた人の呼吸、情熱的な人のジェスチャーなどを感じ取ります。
- 理想の人物像の模倣: ミラーニューロンは他者の行動や感情を内的に模倣する働きを持つため、理想とする人物像の行動や思考パターンを観察し、意識的に自分の行動に取り入れることで、理想の自己像に近づくことができます。例えばすぐにネガティブにとらえ悲観的な人ならば、ポジティブで前向きなヒトの言動をマネするとか、自分がこうなりたいと思う様なヒトとの交流や、新たなコミュニティを探したり、自主的に自分の理想とするようなヒト、環境、習慣を変えていくなどです。高い人格者をまねる(模倣)は、自らの内面を高める最良で最短な方法です。
- 感情のコントロール: ミラーニューロンは、観察した行動だけでなく、その背後にある感情や意図も内的に模倣すると考えられています。落ち着いた人の振る舞いを観察し、観察した人物がどのような感情を抱いているのか、その感情の源は何なのかを想像し、共感しようと努めます。それを模倣することで、自身の感情を安定させる助けになります。
(コミュニケーションへの活用)
- 共感力の向上: 相手の表情や身振りを注意深く観察し、その感情を想像することで、共感力を高めます。
観察→想像→確認のサイクルで、ミラーニューロンが活性化します。
「共感脳ネットワーク」
- 非言語コミュニケーションの学習: 効果的な非言語コミュニケーション(ジェスチャー、アイコンタクトなど)を観察し、自分のコミュニケーションに取り入れることで、よりスムーズな意思疎通を図ることができます。
- プレゼンテーション能力の向上: 魅力的なプレゼンターの話し方や立ち振る舞いを観察し、自分のプレゼンテーションに取り入れることで、聴衆を引きつける力を高めることができます。
(学習への活用)
- 技能習得: スポーツや楽器演奏などの技能を習得する際に、上手な人の動きを注意深く観察し、自分の動きと比較しながら練習することで、より効率的な学習が期待できます。
- 言語学習: ネイティブスピーカーの発音や会話の様子を観察・模倣することで、自然な言語習得を促すことができます。
<まとめ>
ミラーニューロンは他人の行動や感情を見ただけで“自分の脳”が同じ反応をする神経細胞群で、私たちの感情の半分以上は「他人の感情を模倣したもの」なのかもしれません。
つまり、誰かの感情を演じるミラーニューロンの錯覚を通し、私たちの器(脳と身体)は、“虚構に本気で反応するように設計されている”のです。
意識的にミラーニューロンを活用することは、自己成長、理想的な自分に近づく、他者との繋がりや共感、コミュニケーション能力の向上、学習などの強力な助けとなります。