Health and self-therapy information
asa Health Information 12月号② 「頭寒足熱健康法」
🌑 古来の「頭寒足熱」が良い理由と根拠
頭寒足熱(ずかんそくねつ) とは
「頭は涼しく、足は温かく」という健康の基本原則です。
東洋医学では「頭寒足熱」はなぜ重要なのか?
■ 東洋医学の考え方
① 「気は上に昇り、血は下に流れる」
頭 → 陽の気(上に上がり、熱を持つ)
足 → 陰の気(冷えやすく滞りやすい)
とされ、
上の過剰な陽(のぼせ)を抑え
下の陰(冷え)を補う
このために「頭寒足熱」が推奨されてきました。
「気は上に昇り、血は下に流れる」
気(エネルギー)は:
上に昇りやすい
熱を帯びやすい
足は「陰(冷え)」の溜まりやすい場所とされ、足が冷えると気が上に昇りすぎてしまい、
のぼせ
イライラ
頭痛
不眠
などを引き起こす、と考えます。
② 「腎(下半身)を温め、心(上半身)を静める」
東洋医学では、
足腰=腎のエネルギー
頭胸=心のエネルギー
とされます。
腎(下半身)が冷えると生命力が落ち、
心(上半身)が興奮して不眠やストレスにつながる。
→ 足を温め、頭を冷やすことで 心腎バランスが整います。
③ 気血の巡りを良くする陰陽調和
頭(陽)は熱を帯びやすい
足(陰)は冷えやすい
陰陽のバランスをとるために、
頭は冷やしすぎず、足は温めすぎず、適度に整える
というのが頭寒足熱の原則です。
■ 現代医学的な理由
① 脳は熱に弱い → 頭を冷やすと安定する
脳は温度に非常に敏感で、0.2℃上がるだけでも自律神経が興奮しやすくなります。
脳は36℃前後で最も働きます。
過度に熱がこもると集中力低下・のぼせ・頭痛の原因になり頭をほんの少し冷やすと、
交感神経(緊張)が静まり
集中力が上がり
ストレス反応が減り
入眠しやすくなる
という効果が起こります。
脳は適度に涼しい方が自律神経が安定するからです。
② 足を温める → 全身の血流量が上がる
足が温まると、末梢血管が拡張し全身の血流が良くなります。
足の血管は体の中でも太く、温めると
下半身の血流が増える
心臓に帰る血液量が増える
全身の体温が上がりやすくなる
→ 結果として深部体温が自然に下がり、 副交感神経(リラックス)を優位にします。
③ 自律神経バランスが整う
足温め → 副交感神経UP(リラックス)
頭涼しく → 交感神経の過剰興奮DOWN
よって
精神的にも肉体的にも安定しやすくなります。
🔵 足の冷えによる身体反応はなぜ起こる?
🔹足が冷えると眠りが浅くなるのは
▶ 深部体温が下がらないから
人は眠るとき「深部体温(身体の中心部の温度)を下げる」ことで眠りに入ります。
そのためには
手足の末端の血流が開き、熱を放散することが必要です。
しかし冬の冷えで足が冷えると…
末梢血管がキュッと縮む
血流が悪くなる
熱が逃げず、深部体温が下がらない
→ 眠りのスイッチが入らず、浅い眠りになる
特に足冷えは「なかなか寝付けない」「夜中に目が覚める」につながります。
🔹足が冷えるとオシッコが近くなるのは
▶ 冷えによる「冷性利尿」が起こるから
身体が冷えると、体温を守るために
皮膚の血管を収縮
血液を体の中心に集める
これにより
腎臓へ送られる血液(腎血流)が一時的に増える
→ 腎臓が “余分な水分を出そう” と尿を多く作る。
これが「冷性利尿(れいせいりにょう)」。
つまり: 足が冷える
→ 身体が危機を感じて中心部に血液を集める
→ 腎臓の仕事量が上がる
→ 尿が多くなり、トイレが近くなる
🔹足が冷えると全身の冷えを強く感じるのは
▶ 足は「体温保持の最大の要所」だから
足は
皮下脂肪が少ない
末梢血管が細く冷えやすい
心臓からもっとも遠い
このため、身体の中で最も冷えやすい部位。
足が冷えると…
血流が停滞
自律神経が“寒さストレス”を感じる
交感神経が緊張
さらに血管が収縮し、全身も冷える
→ 足の冷えが 全身の冷え感に変わる。
✅ まとめてみると
眠りが浅くなる:足が冷え → 血管収縮 → 深部体温が下がらず眠りスイッチが入らない
尿が近くなる:冷性利尿→体温を守るため腎血流が増え尿が作られる
全身が冷える:足の血流低下 → 自律神経が緊張 → さらに全身が冷える
「頭寒足熱」 は
◎脳を涼しく保つ
◎足の血流を良くして深部体温を調整
◎自律神経を整える
という現代の生理学にも合致した健康法です。
🟣 実践:『頭寒足熱』法
✅ 呼吸によって頭寒足熱を作る
鼻呼吸は、自然に「頭寒足熱の状態」を作りやすい方法です。
🔹なぜ鼻呼吸で頭が涼しくなるのか
▶ 鼻腔内には 冷却作用と加湿作用があります。
① 鼻呼吸は空気を冷やす → その空気が脳のすぐ下の嗅球・前頭葉をクールダウン
② 副鼻腔の空間が冷却の役割を持つ
③ 口呼吸より脳の過覚醒を抑える
つまり鼻呼吸をすると、脳の温度が上がりにくいのです。
関連リンク:https://mountain-top.jugem.jp/?eid=727 鼻呼吸が大切なわけ
👃「頭寒足熱」呼吸法
【頭寒足熱呼吸(おすすめ)】
1. 鼻から細くゆっくり吸う(4秒)
空気が鼻腔で冷やされ、脳の温度が下がる。
2. 吐く息を長く(6〜8秒)
副交感神経が優位になり、体が温まりやすい。
3. 足裏の温かさを意識しながら呼吸
脳が「下半身の血流増加」を指令しやすくなる。
寝る前に行うと:足が温かい → 頭が静まる → 深く眠れる という流れになります。
✅ 頭を涼しくする方法
おでこ・後頭部を軽く冷やす(冷却ジェル、冷タオル)
※ 冷やしすぎる必要はありません。「ほんの少し冷たい」程度が最適。
関連リンク:https://asa2000-cure.com/diary/188765 頭を冷やせ
✅ 足を温める方法
🔶入浴・足湯を習慣にする
● 38~40℃のぬるめの全身浴(10〜15分)
副交感神経が優位 → 末梢血管が開く → 足が温まりやすい
熱すぎる風呂は逆に冷えを悪化させます。
● 足湯(特に寝る前)
足首の上10cmくらいまで
38~42℃で10分
終わったら保湿+靴下
そのまま布団に入ると“睡眠深度”が上がり、夜間の尿意も減りやすい。
● 布団の中に湯たんぽ
✅ 身体を温める衣服
● 靴下の選び方
化繊より ウール・シルク が温かく湿気も逃がす
2枚重ね(シルク → ウール)がもっと効く
締めつけない靴下(血流が悪化するため)
● レッグウォーマーを活用
足首(“首”)を温めると血流が上がりやすい。
冷えにくい人の7~8割が普段から足首を覆っています。
● スリッパの習慣
フローリングの冷えは体温を奪う最大要因。
裸足・薄い靴下 → 足先の温度が一気に下がります。
🔴 足熱にする足の運動法
✅ 足指をよく動かす(“足のグーパー運動”)
1分だけでも足先が一気に温まりやすくなります。
グー:指をぎゅっと丸める
パー:指を大きく開く
これを10〜20回。
✅ 足指のストレッチ・マッサージ
足指を1本ずつ回す
足裏の中央(湧泉ツボ)を押す
これで足先の自律神経が緩み、血管が開きやすくなります。
足のグーパー運動/足指のストレッチ・マッサージ
関連リンク:https://asa2000-cure.com/diary/200868
✅ ふくらはぎの軽い運動
ふくらはぎは“第二の心臓”とも呼ばれ、ポンプのように血液を心臓へ戻す役割を担っています。
筋肉は「熱を生む臓器」
特に下半身の筋肉量が落ちると冬の冷えが悪化しがちです。
「運動 → 筋肉増加 → 熱をつくる力が増える」という循環を作ります。
🔸基本のふくらはぎポンプ運動(立って行う)
最も効果が高く、どこでもできる方法です。
① 足を肩幅に開いて立つ
・背筋を伸ばし、体の軸をまっすぐにする。
② かかとをゆっくり持ち上げる
・つま先立ちになる
・ふくらはぎがギュッと縮むのを感じる
③ かかとをゆっくり下ろす
・床に“ドン”と落とさず、ゆっくりコントロールして下ろす
④ 回数とセット
・15〜20回 × 2~3セット
・朝・昼・夕など1日2〜3回が効果的
STEP 2の時、少し膝を曲げると腰への負担が減ります。
🔸座ってできるふくらはぎポンプ運動
デスクワークや乗り物の中でも可能。
① 椅子に浅めに座る
・背筋を伸ばし、足裏は軽く床につける
② つま先を上げる(背屈)
・すねの筋肉が使われ、下肢の血流が上がる
③ つま先を下げる(底屈)
・ふくらはぎが収縮し、血液が上へ送り返される
④ 回数
・20〜30回をゆっくり
・毎時1回行うとむくみ対策に非常に有効
🔸寝てできるポンプ運動(むくみ・就寝前に最適)
脚がだるい日、静脈還流を確保したい時。
① 仰向けで膝を伸ばす
足先をリラックスさせる
② 足首を上下に動かす
・つま先を手前 → つま先を遠くへ
・ふくらはぎのポンプが働く
③ 追加:足首回し
・左右10回ずつ
・下肢の血流促進と足首の可動改善
✔ より効果を高めるポイント
●動作は“ゆっくり・大きく”
速い動きはポンプ効果が弱くなるため、
1秒で上げる → 1秒で下ろす が基本。
●呼吸は止めない
自然呼吸で。
呼吸を止めると血圧が上がりやすい。
●痛みが出るほどはやらない
ふくらはぎが軽く疲れる程度が最適。
●水分補給も大切
血液がドロッとすると流れにくくなるため、
運動前後に一口で良いので水を飲むと効果UP。
✔ 期待できる効果
・足のむくみ解消
・下肢のだるさ、冷え改善
・血圧の安定
・夜間頻尿の軽減(下肢にたまった水分が改善)
・エコノミークラス症候群の予防
・歩行が楽になり疲れにくい脚になる
身体の血流は 足 → 心臓 → 脳 へ向かいます。
足が温まると脳の過血流が下がり、眠りやすくなります。
🔵 体の “冷えやすい生活習慣” を避ける
✅ スマホ首を避ける
首の冷え+自律神経の乱れ → 全身の血流低下
→ 足先の冷えに直結
姿勢を整えるだけで足がポカポカになりやすい人も多い。
✅ 冷たい飲み物・小麦・砂糖をとりすぎない
これらは血流を低下させ、腸を冷やしやすい。
腸が冷えると自律神経が乱れ、足から冷える体質が強化されます。
🔴 食べ物で体を内側から温める
🔥 温め食材
- 生姜
- ネギ
- 味噌汁
- 黒豆
- ゴボウ
- ニラ
- シナモン(少量)
🙅 避けたいもの
- 冷たい飲料
- サラダ中心の食事
- 果物のとりすぎ(体を冷やしやすい)
⭐ 総まとめ
🔷 頭を冷やし、足を温めると 自律神経と血流が正常化する
🔶 鼻呼吸は「脳の冷却」「下半身の血流促進」の両方に有効
🔷東洋医学では「気が上に昇りすぎないようにする」知恵
🔶 頭寒足熱は睡眠、ストレス、不安、のぼせ、冷え改善に効果的


