Health and self-therapy information
asa Health Information 2025. 11月号 足趾から身体の軸を整える
足の衰えは老化を加速させ、東洋医学的な観点からは足の気血が滞ると、全身のエネルギー循環が悪化し、身体の機能が低下します。
<足の身体エネルギー循環に与える影響について>
✅ 足の衰えと老化の関係
1. 運動機能の低下:
• 足は身体の基盤であり、移動やバランスを保つために重要です。足の筋力や柔軟性が衰えると、歩行や立位の安定性が低下し、転倒のリスクが増加します。転倒による怪我は、身体の活動を制限し、さらなる筋力低下や運動不足を招くことがあります。
2. 血流の悪化:
• 足の筋肉が衰えると、血液循環が悪化します。特に、足の筋肉は心臓に血液を戻すポンプの役割を果たしています。血流が悪化すると、栄養素や酸素の供給が不足し、細胞の老化が進む可能性があります。
3. ホルモンバランスの変化:
• 足の衰えは、全身のホルモンバランスにも影響を与えることがあります。運動不足はストレスホルモンの増加や成長ホルモンの減少を引き起こし、これが老化を加速させる要因となります。
✅ 東洋医学的な観点からの足部の気血の流れ
1. 足は経絡の起点:
• 東洋医学では、足は多くの経絡(気の流れが通る道筋)の起点とされています。足指や足部には多くのツボがあり、これらは全身の臓器や機能と関連しています。足部の気血の流れが良好であれば、全身のエネルギー循環もスムーズになります。
2. 気血の循環:
• 足部の気血が滞ると、全身のエネルギー循環が悪化し、身体の機能が低下します。特に、足部は地面と接する部分であり、地のエネルギーを受け取る重要な役割を果たしています。足部の健康が全身の気血の流れに影響を与えるため、足のケアが重要とされています。
3. 内臓との関連:
• 東洋医学では、足部の状態が内臓の健康と密接に関連していると考えられています。例えば、足の特定のツボを刺激することで、内臓の機能を改善したり、全身のエネルギーを調整したりすることができます。
このように、足の衰えは老化を加速させ、東洋医学的には、足部の気血の流れが全身のエネルギー循環に密接に関わっており、足の健康が全体の健康に大きな影響を与えるとされています。
足をしっかりとケアし、足部の運動を続けることが、老化の進行を遅らせ、身体の健康を維持るためにも重要です。
<足の衰えを予防し全身のエネルギー循環を活性させる大切なポイント>
とくに、足指のケアや機能強化を行うことで、足指の可動性を高め、足底アーチ・下肢ラインを整え、結果として骨盤・仙骨・背骨の安定性(軸の通り)を高め、身体の歪みを整えると共に、全身のエネルギー循環を活性化させ、エネルギーの流れを整える作用があります。
これは、前回まで話した、現代スポーツ科学・運動連鎖(キネティックチェーン)の考えにも通じます。
✅ 背骨・骨盤が足指の影響を受ける理由(メカニズム)
1. 足指・足底アーチのセンサー(固有受容器)
足指が機能すると、足底からの入力が正確になり、脛骨・大腿骨・骨盤に伝わる力の方向が整う。
2. 地面反力の伝達ライン(下肢→骨盤→脊柱)
足指が使えると、地面反力が踵・足裏・足指で正しく受けられ、仙骨・腰椎の微細な安定化に寄与する。
3. 足部の内在筋が骨盤底筋・腹横筋の反射的な働きを促す
足指の屈曲が骨盤底筋群と連動するため、体幹深層の安定性が高まる。
✅ 効果が高い「足指アプローチ」3カテゴリー
以下は、骨盤・仙骨・脊柱の安定性を目的に構成しています。
👣 足指をほぐす(モビリティ改善)
1. 足指一本ずつ回す(各指10〜15秒)
親指から小指まで、1本ずつ上下・左右・ひねりをゆっくり動かす
→ 足指の付け根の関節(MP関節)が動き、足底筋がゆるむ。
🔹上下
🔹左右
🔹内・外ひねり
2. 指の間に手指を入れて大きく回す(10周)
足指の間に手の指を差し込み、大きな円を描く
→ 中足骨の動きが改善し、アーチ形成が安定する。
3. 足裏の母指球・小指球・踵を順に押しほぐす(各20秒)
→ アーチを構成する3点が整うため、骨盤の受け皿が安定。
🔹拇指球
🔹小趾球
4. デトックスラインをほぐす
東洋医学では腎臓は生命の要、足裏全体がが腎臓を表していると考えます。足裏の腎、尿細管、膀胱などのデトックスラインをほぐすことは、デトックス効果、血行促進、リラクゼーション、内臓機能の改善、エネルギーの循環、痛みの緩和など、さまざまな健康効果をもたらします。
腎臓:親指を重ねて真下に5秒かけてゆっくり強めの力で押す。(5秒×6~8回)
尿管:腎臓の位置に人差し指、または中指の第2関節をあて、土踏まず下にある膀胱へ斜めに続く尿管を6~8回さする。
膀胱:親指側面下にある膀胱に人差し指、または中指の第2関節をあて、5秒で押し、5秒でゆるめる。(6~8回)
🤸 足指ストレッチ(柔軟性とアーチの再構成)
5. 足指反らしストレッチ(20〜30秒)
足の甲を反らせるように指をゆっくり引き上げる
→ 足底筋膜・舟状骨周囲の柔軟性改善。
6. 足指グー・パーストレッチ(10回)
グー:指をしっかり丸める
パー:指を最大限広げる
→ 足底内在筋の活性化が骨盤底筋の反射を起こし、仙骨が安定。
7. 母趾(親指)だけ立てて反らす(20〜30秒)
→ 親指の可動性は骨盤の回旋安定に強く影響。
🏋️♂️ 足指トレーニング(安定性)
8. タオルギャザー(左右各10〜15回)
床にタオルを置き、足指で手前に引き寄せる
→ 足底アーチ・ヒラメ筋・脛骨筋が連動し、骨盤の前後傾が整う。
9. 足指で地面を「軽く掴む」立位(30秒×2)
つま先を「ほぼ動かさず」に母指球と小指球で軽く床をつかむ
→ 仙骨が立ち、腰椎の自然な前弯が戻る。
10. 足指を意識した片脚立ち(20秒×2)
足指を軽く掴む意識で骨盤が水平になる
→ 脊柱起立筋・多裂筋が反射的に安定。
11. ベアフット・ウォーク(裸足歩行)1〜2分
親指で地面を押して前に進む
→ 脚→骨盤→上半身の連動が整う。
🧘♂️「骨盤・仙骨の安定」を最大化する組み合わせ(5分ルーティン)
1. 足指ほぐし(1分)
2. グー・パー&母趾ストレッチ(1分)
3. タオルギャザー(1分)
4. 足指で掴む立位(1分)
5. ベアフット歩行(1分)
→ 全身の軸が通り、特に「仙骨が前に倒れすぎない」「腰が反らない」状態がつくれる。
よって、身体の軸が安定し、気血の流れが良好となり、全身のエネルギー循環が高まる。
このアプローチが特に有効なケース
- 骨盤が前傾・後傾しやすい
- 仙骨の位置が不安定
- 腰痛・立位の不安定
- 足首のぐらつき
- 靴のかかとが片側だけ減る
- ランニングで体幹がぶれる
- 足指アプローチは、体幹トレーニングよりも「即時効果」が出やすい点が特徴です。























