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2024-02-24 18:49:00

肩甲骨と骨盤連動の運動法 体幹安定・姿勢改善・美しいボディライン・身体をスムーズに動かす

 肩甲骨ー骨盤リズム>とは

肩甲骨と骨盤が連動して動くことを言い、肩甲骨(肩関節)と骨盤(寛骨を左右として)が対角線に連動して動く現象を指します。

肩甲骨と骨盤は、身体をスムーズに動かすために重要な役割を担っています。普段から意識的に動かすことで、体幹の安定、柔軟性の向上、筋肉のバランス改善、姿勢改善、運動パフォーマンス向上などの効果が期待できます。

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 例えば、腕を上げるとき肩甲骨と骨盤の連動では、肩甲骨は上方に回旋し、骨盤は前傾します。また、前かがみになるとき、肩甲骨は下方回旋し、骨盤は後傾します。上の絵のように、肩甲骨が上転(上方回旋・挙上・外転)すると、対角線にある骨盤は縮小(挙上・前傾)し、肩甲骨が下転(下方回旋・下制・内転)すると、対角線の骨盤は拡大(下制・後傾)します。

歩く時には、左手と右足、右手と左足というように同じ動きをし、肩甲骨が閉じると骨盤も閉じるなど肩甲骨と骨盤(股関節)が連動します。

肩甲骨の左右のバランスが崩れると骨盤のバランスも崩れやすくなり、逆に骨盤のバランスが崩れると肩甲骨のバランスも影響を受けることがあります。

 

 

背骨の運動と肩甲骨の動きにも関連性があります。肩甲骨の外転(背骨から外側に離れる運動)が起きると背骨の後弯(背中が丸くなる運動)が起こり、反対に肩甲骨の内転(背骨に肩甲骨が近づく運動)が起きると背骨の前弯(背中が伸びる運動)が起こります。この連動性を理解すると、良い姿勢を構築するのに役立ちます。

<肩甲骨と骨盤の構造>

肩甲骨と骨盤は、体の前面と背面に位置する 2 つの大きな骨格構造です。どちらも体幹の一部であり、体の動きと安定性に重要な役割を果たしています。

肩甲骨 は、背中の僧帽筋、菱形筋、肩甲下筋など、多くの筋肉によって動かされる浮動骨です。これらの筋肉は、肩甲骨をさまざまな方向に動かすことができます。

骨盤は、寛骨、仙骨、尾骨で構成される固定骨格です。股関節、仙腸関節、恥骨結合など、多くの関節によって体幹に接続されています。

肩甲骨と骨盤は、次の筋肉によって互いに接続されています。

  • 腸腰筋: この筋肉は、腰椎と骨盤に付着しています。股関節を屈曲し、体幹を回転させるのに役立ちます。
  • 大臀筋: この筋肉は、骨盤と大腿骨に付着しています。股関節を伸展し、外旋させるのに役立ちます。
  • 腹直筋: この筋肉は、恥骨と胸骨に付着しています。体幹を前屈し、骨盤を前傾させるのに役立ちます。

これらの筋肉は、肩甲骨と骨盤を協調して動かすのに役立ちます。

<肩甲骨と骨盤の連動が身体をスムーズに動かすのに大切なわけ>

肩甲骨と骨盤が連動して動くことで、体幹全体が安定し、体の軸がブレにくくなります。軸が安定することで、スムーズな動作や姿勢保持が可能になります。

1. 体幹の安定と柔軟性の向上

肩甲骨と骨盤は、体幹を構成する重要なパーツです。体幹は、身体の軸となる部分であり、姿勢を維持したり、動きをコントロールしたりする役割を担っています。

  • 肩甲骨は、背中の筋肉群によって支えられており、前後左右に動かすことができます。肩甲骨が柔軟に動くことで、腕や肩の動きがスムーズになり、体幹全体の可動域が広くなります。
  • 骨盤は、股関節と連動して、前傾・後傾、左右への回転などの動きを行います。骨盤が安定することで、体幹の軸がブレにくくなり、スムーズな動作が可能になります。

2. 筋肉のバランスを整える

肩甲骨と骨盤が連動して動くことで、体の各部位の筋肉をバランスよく使うことができます。筋肉や関節にかかるストレスが軽減され、これにより、肩こりや腰痛などの痛みを軽減するのに役立ちます。

  • 肩甲骨が固まると、首や肩周りの筋肉が緊張しやすくなり、頭痛や肩こりの原因となります。
  • 骨盤が歪むと、腰痛や膝痛などの下半身の痛みを引き起こす可能性があります。

3. 姿勢改善と美しいボディライン

肩甲骨と骨盤が正しい位置にあることで、背筋が伸び背骨が自然に整列され、美しい姿勢を保つことができます。これにより、猫背や反り腰などの姿勢不良を改善するのに役立ちます。

  • 猫背は、肩甲骨が内側に入り込み、骨盤が前傾している状態です。猫背になると、内臓が圧迫され、呼吸や消化機能が低下する可能性があります。
  • 反り腰は、骨盤が後傾し、腰が反りすぎている状態です。反り腰になると、腰椎に負担がかかり、腰痛の原因となります。

肩甲骨と骨盤を正しい位置に戻すことで、姿勢改善と美しいボディラインの形成に効果があります。

4. 運動パフォーマンスの向上

スポーツや運動においても、肩甲骨と骨盤の連動は重要な役割を果たします。肩甲骨と骨盤が自由に動くことができる場合、体の動きがより効率的になります。これにより、運動能力を向上させるのに役立ちます。例えば、ランニングでは、腕を前後に振る際に肩甲骨と骨盤が連動して動くことで、効率的な推進力を生み出すことができます。

  • 肩甲骨が柔軟に動くことで、腕の振りや投げる動作がスムーズになり、パワーが増します。
  • 骨盤が安定することで、体幹がブレにくくなり、力強い動きが可能になります。

肩甲骨と骨盤を意識的に動かすトレーニングを行うことで、運動パフォーマンスの向上に繋げることができます。

<骨盤安定性と内転筋の密接な関係>

内転筋群は、太ももの内側にある5つの筋肉の総称です。これらの筋肉は、股関節を内側に閉じるだけでなく、骨盤の安定化にも重要な役割を果たします。

  • 骨盤を支える力強い支柱

内転筋群は、骨盤を左右から支える強力な筋膜と連携し、骨盤を安定した位置に保ちます。歩行や立ち姿勢、運動など、あらゆる動作において、骨盤がブレないように支えます。

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内転筋の検査(股関節・骨盤帯・膝関節編 Practical skill  浅倉、堀内共著より)

<まとめ>

肩甲骨と骨盤は、身体をスムーズに動かすために重要な役割を果たしています。

これらの部位を意識してストレッチやトレーニングを行うことで、体幹の安定、可動域の拡大、筋肉の負担軽減、姿勢改善、運動能力向上、血流促進などの効果が期待できます。

(肩甲骨と骨盤の連動性を改善する運動)

  • ストレッチ: ストレッチは、肩甲骨と骨盤周りの筋肉を柔らかくするのに役立ちます。
  • 筋力トレーニング: 筋力トレーニングは、肩甲骨と骨盤周りの筋肉を強化するのに役立ちます。
  • ヨガやピラティス: ヨガやピラティスは、肩甲骨と骨盤の連動性を改善するのに役立つエクササイズです。

 

肩甲骨と骨盤の連動性を改善する運動や筋トレの例をいくつか紹介します。

 <肩甲骨の運動>

ラットプルダウン(タオル)

タオル、紐などの両端を持って背中側に回し、上下に動かす筋トレ。

①息を吸いながらゆっくり天井に向かって紐(タオル)を持ち上げる

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②息を吐きながら紐を背中側に下げ肩甲骨を引き寄せる 

(僧帽筋を背骨に引き寄せようにして肩甲骨を意識)

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*①②を1セットとして20回、2セット

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ダンベルデットリフト

①両足を肩幅に開いて立ち、左右の手にダンベルを持つ

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②軽く膝を曲げ、お尻をやや後に引き、おへそは斜め下の床に向ける

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③脇を締めて肩甲骨を背中の中央に寄せ、軽く肘を曲げダンベルを脚の付け根(腰の横側)まで引き上げる

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④息を吸いながら脚の付け根から上半身をゆっくり前屈させ、腰が丸まらないように気をつけ脚に沿ってダンベルを下げ、すねの真ん中まで下げたら息を吐いて③に戻る

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 *ダンベルを引き上げる際、僧帽筋を中央に引き寄せるようにして肩甲骨を引き寄せる。④を1セットとし15回、2セット

チンニング(懸垂)

①バーを肩幅より広めに握りぶら下がる 

②上体を少し後傾し胸を張りながらバーの高さに顔が来るまで体を引き上げる

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 *僧帽筋、菱形筋などの筋肉で肩甲骨を引き寄せ上体を上げる。

①②を1セットとし10回、2セット

<骨盤の運動>

棒体操

①仙骨を意識し片脚を上げ下げする  左右10回

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 ②棒を肩幅やや広めに握り、骨盤は立て体幹で前屈する 10回

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 ②骨盤は立て体幹で後屈する 10回

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 ③骨盤は立て左側屈する 10回

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 ④骨盤は立て右側屈する 10回

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 ⑤骨盤は正面に向け左回旋する 10回

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 ⑥骨盤は正面に向け右回旋する 10回

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 ⑦仙骨に意識をおいて腹式呼吸 10回

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*体幹の軸となるのが仙骨で、仙骨が安定すると体幹が安定し、上半身と下半身の連動性も良くなるのでスムーズな動作が出来るようなる。

ボールはさみ運動

①椅子に座り両膝にゴムボールをはさみ、内ももでボールを強くつぶすように押さえる 10秒キープ 3回 

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②両膝にボールをはさんだまま片脚立ちし、浮かした脚の内ももで軸脚へボール強く押しつける 左右:10秒キープ 3回

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③両膝にボールをはさんで歩行

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 *ももの内側にある内転筋群は、骨盤を安定した位置に保つよう力強い支柱となり働く。内転筋を鍛える事は骨盤を安定させる上でとても大切。

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サイドランジ

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①足を右前に(約30°)出し上体をまっすぐにしたまま、股関節とひざを曲げていく

前ひざを90度まで曲げたらゆっくりと元の姿勢に戻る

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反対側も同様に行う 

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 *ランジはまっすぐ前に脚を出せば、よりももの真ん中(大腿四頭筋)に効き、少し外側へ向けて出すことで内転筋に効かせる。

ワイドスクワット

①バーを担ぎ足を肩幅の2倍程度に広げ、足先は45°程度に外側へ向ける

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 ②上体は立て気味にしてガニ股でしゃがみ込み、お尻は太ももが水平になるまで下げる ここから①に戻る

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 *スクワットの足幅を変えることで、鍛えたい筋肉も変える事が出来る。

ミディアムスタンス(肩幅)、ナロースタンス(股関節の幅)、ワイドスタンス(80cm程度)

内転筋を鍛えたい時はワイドスタンス(80cm程度)、大腿四頭筋、ハムストリングス、大臀筋をバランス良く鍛えたいならミディアムスタンス(肩幅)、ナロースタンス(股関節の幅)がよい。

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体幹は身体の軸(中心)であり、この安定性や柔軟性は、内面(意識・心)にも反映されていきます。

体幹の安定と柔軟を獲得することや、その修正能力を獲得し体現することは、内面を平安に保って行くためのメソッドとしてとても大切な事です。

身心は相関関係にあることは、東洋医学の教えです。(^_^)