asa insight

2026-10-08 19:38:00

真実を観る眼力 203【前編】 「自分の選択」と「他者の存在」 ― 自分らしく生きるために、まず自分の声を聴く ―

はじめに

「自分の人生なのだから、自分で決めればいい」

そう思うことがあります。

どんな仕事をするのか。

どこで暮らすのか。

結婚するのか、しないのか。

誰と一緒に生きるのか。

何を大切にするのか。

人生には、自分自身で選ばなければならないことがたくさんあります。

けれど、実際に人生の選択をするとき、

「自分は本当にそうしたいのだろうか?」

と迷うことがあります。

家族はどう思うだろう。

周囲からどう見られるだろう。

このままでいいのだろうか。

みんなと同じほうが安心なのではないか。

そんな思いが、自分の本当の気持ちに重なってくるからです。

202では、

「それは、本当にあなたが欲しいものなのか?」

という問いを考えました。

203では、その問いをもう一歩進めてみたいと思います。

「私は、どんな人生を選びたいのだろう?」

そして、

「その選択は、本当に自分自身のものなのだろうか?」

という問いです。

 

第一章 「自分の人生だから」は、本当に自分の選択なのか

「自分の人生なのだから、自分で決める」

これは、とても大切なことです。

誰かに決めてもらった人生を生き続ければ、

「本当は自分はどうしたかったのだろう」

という思いが残ることがあります。

親が望んだから。

周囲がそうしているから。

世間では、それが普通だから。

誰かに褒めてもらえるから。

そんな理由だけで選んでいると、

自分で選んでいるつもりでも、

実は他者の価値観を選んでいるだけかもしれません。

たとえば、

「安定した仕事に就くべき」

「結婚したほうが幸せ」

「家庭を持つのが普通」

「成功するなら収入を増やすべき」

という考え方があります。

もちろん、それが自分にとって本当に大切なら、その選択は間違いではありません。

問題は、

「自分がそうしたい」のか、

「そうするべきだと思っている」のか。

この二つが分からなくなってしまうことです。

 

第二章 「欲しい」と「そうあるべき」は違う

私たちの欲求には、いろいろなものがあります。

「これが欲しい」

「こうなりたい」

「こんな人生を送りたい」

そう思ったとき、その気持ちを否定する必要はありません。

けれど、一度立ち止まってみる。

なぜ、私はそれが欲しいのだろう?

と。

たとえば、

「結婚したい」

と思ったとします。

その気持ちは本当に結婚そのものを望んでいるのでしょうか。

それとも、

誰かと愛し合いたい。

安心できる場所が欲しい。

家族をつくりたい。

一人ではないと感じたい。

周囲から「幸せな人」と認められたい。

年齢的に、そろそろ結婚するべきだと思っている。

その奥には、さまざまな思いがあるかもしれません。

「仕事を続けたい」という気持ちにも、

自分の能力を生かしたい。

経済的に自立したい。

自由な時間を持ちたい。

社会とのつながりを持ちたい。

自分らしくありたい。

という、さまざまな思いが含まれているでしょう。

だからこそ、

表面的な「欲しいもの」だけを見るのではなく、その奥にあるものを見る。

それが、自分の選択を知る第一歩になります。

 

第三章 「期待される自分」と「本当の自分」

人生を選ぶとき、私たちは多くの「期待」の中にいます。

親からの期待。

パートナーからの期待。

職場からの期待。

社会からの期待。

「こういう人であってほしい」

という思いは、私たちの周囲にたくさんあります。

期待されること自体が悪いわけではありません。

期待されることで、自分の可能性に気づくこともあります。

けれど、

期待に応えなければ、自分には価値がない

と思い始めると、苦しくなります。

「いい人でいなければ」

「迷惑をかけてはいけない」

「期待を裏切ってはいけない」

「嫌われてはいけない」

そう考えているうちに、

自分が本当に何を望んでいるのかが分からなくなってしまうことがあります。

だから、

「周囲がどう思うか」

を見るだけではなく、

「私はどう感じているのか」

を見ることが必要になります。

 

第四章 自分らしさは、一人だけではつくられない

では、

「自分らしく生きる」

とは、他人の影響を受けないことなのでしょうか。

実は、そうとも言えません。

私たちは生まれたときから、誰かに育てられます。

言葉を教えてもらい、

人との関わり方を学び、

さまざまな経験をします。

褒められたり、

叱られたり、

誰かに助けられたり、

誰かを助けたりします。

そうした経験の積み重ねから、

「自分はこういう人間だ」

という感覚がつくられていきます。

つまり、

私たちは他者との関係の中で、自分自身を知っていく

とも言えるのです。

だから、

「誰にも影響されないこと」が自分らしさなのではありません。

影響を受けながら、

何を受け入れ、何を手放し、何を自分の価値観として選ぶのか。

そこに、自分らしさがあります。

 

第五章 他者の意見を聞くことと、従うことは違う

誰かから、

「その仕事を続けたほうがいい」

と言われた。

「結婚したほうが幸せになれる」

と言われた。

「そんな生き方はやめたほうがいい」

と言われた。

その言葉を聞くことは大切です。

でも、

聞くことと、従うことは違います。

相手の考えを聞いたうえで、

「あなたはそう考えるのですね」

と受け止める。

そして、

「では、私はどう思うのだろう?」

と自分に問い直す。

これが、自分で選ぶということです。

他者の意見を尊重することは、

自分の意思を捨てることではありません。

むしろ、

さまざまな意見を聞いたうえで、自分で考えること。

それが、自分の選択をつくります。

 

第六章 「自分で選ぶ」とは、正解を選ぶことではない

人生には、絶対的な正解が分からない選択があります。

結婚するか、しないか。

仕事を続けるか、変えるか。

都会で暮らすか、自然の中で暮らすか。

誰かと生きるか、一人で生きるか。

どちらを選んでも、良いこともあれば、難しいこともあるでしょう。

だから、

「絶対に正しい選択」を探し続ける必要はありません。

大切なのは、

その時の自分に何が見えているのか。

何を大切にしているのか。

何を恐れているのか。

何を望んでいるのか。

それらをできるだけ丁寧に観察して、

そのうえで選ぶことです。

そして、選んだ後に、

「違ったかもしれない」

と気づいたなら、また選び直せばいい。

人生は、一度の選択ですべてが決まるものではありません。

 

「自分を観る、自分の声を聴く」

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第七章 自分の声を聴いたあとに、初めて見えてくるもの

ここまで、自分自身の選択について考えてきました。

自分は何を望んでいるのか。

その望みはどこから生まれたのか。

誰かの期待ではないのか。

社会の「普通」に影響されていないか。

そして、それでも自分は何を選びたいのか。

ここまで見つめることができれば、

ようやく、

「私はどう生きたいのか」

という問いに近づくことができます。

けれど、ここで終わりではありません。

なぜなら、

私たちは一人だけで生きているわけではないからです。

自分の選択には、

必ずと言っていいほど、

誰かの存在が関わっています。

家族。

友人。

パートナー。

仕事仲間。

社会。

そして、自然。

では、

自分らしく生きながら、他者とも共に生きるにはどうすればいいのでしょうか。

その問いは、203後編で考えてみたいと思います。