Health and self-therapy information

2026-01-31 03:35:00

asa Health Information 2026.1月号 ③ 姿勢戦略による『間』の体現

立っているときに突然後方から押された場合、立っている姿勢を保持するために様々な調整機能が働き、立位を保持しようとする防御反応が働きます。

立っているときの姿勢を保つしくみで大事な考え方は、「重心(体の重さの中心)を足で支える範囲(支持基底)」の上に保つことです。

 

重心10.jpg

 

バランスを崩しそうになると、体は重心をこの範囲の上に戻すために、

足関節(くるぶし)戦略、

股関節(腰)戦略、

踏み出し(ステップ)戦略、

という3つの方法(戦略)を使い姿勢を維持しようとします。

 

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1. 足関節(くるぶし)戦略

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• どうするか:

足首を使って体全体を前後にゆっくり傾けます。体は一枚の板のようにまっすぐ保ったまま、くるぶしを支点にして揺れるイメージです。

• 簡単な例え:

「まっすぐな板が足首で前後に揺れる」感じ。

• いつ使うか:

ゆっくりで小さな揺れや、足元がしっかりしているとき(広めに立っている、床が固いなど)。例えば、バスが少し揺れたときなど。

• 見た目の特徴:

足首のところで前後に揺れが出て、膝や腰はあまり曲がらない。

 

2. 股関節(こし)戦略

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• どうするか:

腰(股関節)を曲げて上半身を前後に動かし、重心を移動させます。上と下の体を別々に動かす感じで、上体がぐっと動きます。

• 簡単な例え:

「胴体を折り曲げてバランスをとる」感じ。

• いつ使うか:

揺れが速かったり比較的大きいとき、足関節だけでは間に合わないとき。柔らかい地面や狭い立ち方のときにも使われやすいです。

• 見た目の特徴:

腰から大きく折れるように前かがみや後ろ反りになり、上体の動きが大きい。

 

3. 踏み出し(ステップ)戦略

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• どうするか:

バランスが大きく崩れて支持基底(両足で支えている範囲)だけでは戻せないと判断したら、一歩踏み出して足の位置を変え、支持基底を広げます。新しい足の位置で重心を安全に支えます。

• 簡単な例え:

「転びそうになったときに咄嗟に一歩出す」感じ。

• いつ使うか:

倒れそうになるほど大きな乱れが起きたとき。例えば、誰かに強く押されたときや足元が急に滑ったとき。

• 見た目の特徴:

すばやく前や後ろ、横に一歩(または何歩か)踏み出す。

 

4.戦略の使い方まとめ(覚え方)

小さくてゆっくり → 足首で調整。[足関節(くるぶし)戦略]

 

速くてやや大きい → 腰で調整。[股関節(こし)戦略]

 

とても大きくて収まらない → 足を動かして踏み出す。[踏み出し(ステップ)戦略]

 

 

「立位姿勢を維持」するためのそれぞれの戦略は、重心が支持基底面から外れる、または、外れかけたら、「重心を戻す」ための戦略であり、

この戦略は、『反射』で反応する、または、『間』を保つために、間から外れる、または、外れかけたら、「静止した中心に戻す」事との間に、密接な関係性があります。

 


✅「足関節戦略」・「股関節戦略」・「踏み出し戦略」は、単なる姿勢制御の分類ではない

👉 反応で動くか、間を保って動くか

👉 意識の軸がどこにあるか

を、そのまま身体で表しています。

 

1. 3つの姿勢戦略を「意識の状態」と対応させる

① 足関節戦略=(小さな揺れへの反応)

身体 意識
足首で揺れを止める 反射的
上体は固まりやすい 判断が早い、浅い

👉足関節戦略=「反応で動く」状態 

日常では驚いてビクッとする、すぐ言い返す、焦るときの身体です。

 

② 股関節戦略=(大きな揺れへの対応)

身体 意識
腰が主導 少し余裕がある
上下が分離し始める 目的意識が生まれる

👉股関節戦略=「制御しようとする意識」 ただし「やろう」とする

間は生まれかけていますが、まだ操作です。



③ 踏み出し戦略=(転倒を避けるための移動)

身体 意識
支持基底面を更新 状況全体を感じ取る
動いて安定を取り直す 判断が遅く、深い 先を読んでいる

👉踏み出し戦略=「間を含んだ動き」

ここで初めて反応ではなく、選択になります。


2. 「間」とは、どこで生まれるのか?

💡重要

間は、筋肉や関節にあるのではありません。

 

👉 「戦略を切り替えられる余白」
これが間です。

  • 足関節だけで止めようとしない

 

  • 股関節だけで耐えようとしない

 

  • 必要なら踏み出せる

この選択可能性がある状態。

 

3.意識の軸と姿勢戦略の関係

🟥 意識の軸が「上」にあるとき

✔ 足関節戦略に偏る

✔ 反射的

✔ すぐ止めようとする

 

🟩 意識の軸が「丹田」にあるとき

✔ 股関節戦略が自然

✔ 上下が分離

✔ 動きに余裕が出る

 

🟦 意識の軸が「全身・空間」にあるとき

✔ 踏み出し戦略が自由に使える

✔ 環境と調和

✔ 間が最大化する

 

4. なぜ「踏み出し戦略」が最も『間』に近いのか?

踏み出し戦略は、

  • 揺れを止めていない

 

  • 受け流している

 

  • 場を更新している

これはまさに

起きた出来事を否定せず、

場を変えて応答する=柔軟に対応

という意識の在り方と同じです。

 

5. 日常での体感的まとめ

立っているときに、

  • 揺れた瞬間、止めようとしたら → 反応

 

  • 揺れを感じて腰が動いたら → 制御

 

  • 揺れを感じて一歩出られたら → 間

       ⬇

この対応関係はそのまま

例えば(間から滲み出る行為としての)


✔ 会話=相手の最後の言葉が出るまで待ち、最初の言葉を話す

 

✔ 判断=反射的に判断しないで、間(余白)を入れると深く、先が読める

 

✔ 対人関係=相手に反応せず、相手を尊重したまま、自分と相手の境界が静かに保たれているので(反応の間の余白)、近くに居ても絡まれない、関わっても乱れない、間(余白)のある関係が保たれる

 

などにも現れます。

 

6.踏み出せる身体に戻す3分ワーク

✅ 目的

揺れても止めず、自然に一歩が出る状態を思い出す

 

① 1分|足裏を「広げて置く」

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<やり方>

  • 靴を脱ぐ(可能なら)
  • 足を腰幅
  • 踵・母趾球・小趾球を床に置くだけ
  • 体重を乗せようとしない
  • 意識

  ✔ 踏まない

  ✔ 押さない

  ただ「触れている」

  • 変化サイン

  ✔ 足裏が温かくなる

  ✔ 足指が自然に広がる

👉 支持基底面が“感じられる”

 

② 1分|前に倒れ続ける

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<やり方>

  • 膝を軽く緩める
  • 背中を丸めず、股関節から前傾
  • 「倒れるのを止めない」
  • 倒れそうになったら

👉 足が勝手に半歩出るのを許す

※ 出なければ出なくてOK、出そうになる感覚を待つ

  • 意識

  ✔ 立とうとしない

  ✔ 支えない

  ✔ 倒れ続ける

 

  • 変化サイン

  ✔ 腰が軽い
  ✔ 太ももが頑張っていない

👉 踏み出し戦略の入口

 

③ 1分|呼吸で一歩を招く

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<やり方>

  • 立ったまま
  • 鼻から軽く吸う
  • 長く吐く(6〜8秒)

 

吐き終わる直前に

👉 足が前に出るのを許す

  • 意識

  ✔ 歩こうとしない
  ✔ 呼吸が動きを連れてくる

  • 変化サイン

  ✔ 動きが遅くなる
  ✔ 安心感が出る

👉 反応ではなく選択になる

 

④ 3分後に確認すること

  • 揺れても止めなくなっている
  • 一歩が軽い
  • 頭より先に足が動く

これが出ていれば成功です。

よくある失敗(大事)

 ❌「正しくやろう」とする

 ❌ 足を出そうと頑張る

 ❌ バランスを取ろうとする

👉 全部、止める方向です。

 

✅ ワークの本質(超重要)

この3分で起きているのは、

  • 足関節戦略を使わない練習
  • 股関節を通過点に戻す
  • 踏み出し戦略を許可する

つまり

身体に

  • 「止めなくていい」
  • 「動いても大丈夫」

と再教育しているだけ。

 

7.まとめ

踏み出せる身体とは、

勇気がある身体ではなく、

止める必要のない身体