Health and self-therapy information
asa Health Information 2026.1月号 ② 重心と「間」
重心を安定させることは、中心にある身体の軸を保つことでもあり、これは、そこから発する間のある行為に自然とつながっているとも言えます。
身体重心の安定とは、言い換えれば、バランスが取れた身体性であり、これは翻れば、意識の軸の安定にもつながっていると思われます。
1.「重心を安定させる=静止した中心を保つ」なのか?
重心の安定は、
❌「動かない中心を固めること」ではなく
⭕ 「動いても崩れない中心が保たれていること」
です。
言い換えると、
静止した軸を“固定”するのではなく、
動きの中で“失われない”軸
この状態を、武道や芸道では
「中(ちゅう)が立っている」
「芯が通っている」
と表現します。
2. 重心が安定している身体に起きていること
身体的には、次の3つが同時に起きています。
① 丹田(重心)が「主役」になっている
- 手足が主導しない
- 動きが丹田から波及する
② 重心線が支持基底面内を“遊べる”
- 中央に縛られない
- 前後左右に揺れられる余白がある
③ 身体が「待てる」
- 反射的に動かない
- 反応と反応の「間(ま)」が生まれる
ここで初めて
👉 「間のある行為」
が自然に立ち上がります。
3.「間のある行為」とは何か?
「間」は
- 意図
- 思考
- 反射
の前段階に生まれます。
重心が安定していないと、
✔ 体が先に反応する
✔ 思考が先に走る
✔ 感情が先に噴き出る
つまり
👉 間が存在できない
一方、重心が安定していると、
- 動こうとする力は生まれる
- しかし、まだ動かない自由がある
この「動く前の余白」が
👉 「間」です。
4. 身体重心の安定=バランスの取れた身体性
ここでの「バランス」は、
- 左右が均等
- 前後が真っ直ぐ
という意味ではありません。
👉 崩れても、戻れる能力
これが
生きたバランスです。
静的な均衡ではなく
可動的な均衡。
5. そこから「意識の軸」へ
💡 ここが一番大切なところ。
身体と意識は別物ではありません。
重心が不安定な身体では、
✔ 意識は頭部に偏る
✔ 判断が早すぎる
✔善悪・損得に引っ張られる
一方、身体重心が安定すると、
- 意識の重さが丹田側に降りる
- 判断が遅くなる(=深くなる)
- 全体を観る視点が生まれる
これを
👉 意識の軸が立つ
と言えます。
6. 身体重心と意識の軸の対応関係
シンプルに対応づけると:
| 身体重心 | 意識の軸 |
| 丹田に重心 | 中心に意識 |
| 低く安定 | 落ち着き |
| 動ける余白 | 判断の余白 |
| 崩れても戻れる | 感情に呑まれない |
つまり
身体が中心を失わない時、
意識も中心を失いにくい。
7. 「軸」とは何か(誤解されやすい点)
軸とは
- 強さ
- 緊張
- 意志力
ではありません。
👉 抜けていて、しかし消えないもの
これが
- 良い姿勢
- 良い所作
- 良い判断
すべての土台になります。
8. まとめ
重心を安定させることは、
静止した中心を保つことでもあり、
そこから発する間のある行為に
自然とつながっている。
ただしそれは、
👉「止まった中心」ではなく
「動きの中で失われない中心」
です。
身体重心の安定は意識の軸の安定につながっている、
なぜなら
意識は、身体の使われ方に依存しているからです。
