Health and self-therapy information

2026-01-27 00:48:00

asa Health Information 2026.1月号 ① 重心と安定性

体が不安定な体勢や、不安定な場におかれると、その体勢を整え維持するために一層多くの運動神経や感覚神経を働かさなくてはなりません。

バランスが良いとは一体どのような状態を言うのでしょうか?

 

 

バランスは、重心と支持基底面との関係が大きく関わります。

 

1. 重心とは

すべての物体には、地球の中心に向かう重力が作用しています。

ヒトの重心は、安静立位の状態で第2仙骨前方の辺り(臍下)にあり、子供の場合は成人より少し上にあります。

 

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👉 重心は丹田(第二仙骨前方)にある

なぜ丹田と感じるのか?

 

第二仙骨前方・下腹部(丹田)は、体の上下・左右の重さが最も釣り合う動きの中心になる

 

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そのため

安定している人ほど、重心を丹田に感じます。

 

物理的には?

実際の重心位置は

  • 姿勢
  • 手足の位置

で常に動きます。

でも

👉 「操作の中心として丹田を使う」

と、重心操作が最も効率的になります。

 

 

2. 「身体重心」と「重心線」とは?

身体重心

👉 点(位置)

 

重心線

👉 その点から、真下に引いた垂直の線

 

重心15.png

 

つまり
重心線=体重が地面に落ちようとする方向

と考えてください。

 

 

3. 支持基底面とは

👉 「身体が地面と接している範囲」

 

例:

  • 両足立ち → 両足の外周で囲まれた面

両足を肩幅に開いて立っている時、両足の足底とその間の部分を合計した面積が支持基底面になります。

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  • 片足立ち → その片足の接地面

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  • 杖、トレッキングポールなどを使用した場合

 両足と杖を結んだ合計の面積が支持基底面になります。

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4. 身体重心と支持基底面の関係

基本原則(超重要)

👉 重心線が支持基底面の中に落ちていれば安定

 

重心10.jpg

 

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👉 外に出ると倒れる
たとえば

  • 直立 → 安定
  • 前に倒れすぎる → 転ぶ

 

これは誰でも体験していますね。

 

 

5. バランスがよく安定している状態とは?

よくある誤解があります。

❌「重心線がど真ん中で止まっている」

⭕ 「重心線が支持基底面の中を自由に動ける」

つまり

固まっている → 不安定

動ける → 安定

 

安定とは

👉 動ける余裕がある状態

 

バランス能力は体が不安定な体勢や不安定な場におかれるた時、速やかに身体重心を支持基底面内に戻し身体を安定させる能力

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または、歩く・走るなどの移動動作などで、支持基底面にある重心を支持基底面外に移動させる際などに、支持基底面から重心が逸脱(外れる)した時に速やかに新たな支持基底面内に重心線を作れる能力とも言えます。

 

重心移動して新たな支持基底面を獲得し走る

 

「バランスが良い状態」とは姿勢や体勢、動作や運動中に、支持基底面内に身体重心(線)があれば身体が安定し、バランスを保つことができます。

 

身体重心線が支持基底面内、支持基底面内の中心ほど安定性は高くなる

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物を持ち上げる際も支持基底面内に持つ物を入れて持つ方が楽に持てる

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支持基底面外で持ち上げると身体負荷が大きくなる

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6. 理想的な身体アライメントと重心

理想的な姿勢とは

「ピンと立つ」ことではありません。

👉 重心が丹田に感じられ、上下に力が抜けている姿勢

 

特徴:

  • 頭は軽い
  • 肩は下がる
  • 足裏が地面を感じる
  • 呼吸が止まらない

このとき

重心線は支持基底面の中

しかも動かせる余白がある

 

重心A-2.png

 

逆に姿勢や体勢、動作、運動中に支持基底面内から身体重心(線)が逸脱(外れる)すれば、身体は不安定となりバランスが崩れます。

 

 

 

7. 青安錦関はなぜ前傾・低重心で投げられるのか?


① 前傾=不安定、ではない

青安錦関は

「前に倒れそうな重心」を止めていません。

重心線は前に出る

でも

👉 足が前に出て支持基底面が更新される

 

結果:

重心線は

常に支持基底面の中

 

② 重心を「低く」している意味

重心が低いと:

  • 小さな動きで相手に影響する
  • 相手は高い位置で揺さぶられる

例えるなら
👉 低い位置から大きな家具を押す感じ

 

③ 前傾姿勢の正体

見た目は前傾ですが、

腰(丹田)は前に落ちない

下に沈んでいる

つまり

👉 前に倒れているのは「上半身」

👉 重心は「地面方向」

 

④ 相手の支持基底面を壊している

相手は:

✔ 体が立っている
✔ 重心が高い
✔ 足が止まっている

そこに

  • 低い重心
  • 動き続ける重心線
  • 体重が乗った接触

を与えると、

👉 相手の重心線が支持基底面の外へ

その瞬間

  • 投げ
  • すくい
  • 崩し

が成立します。

 

 

8.まとめ

  • 重心=体重の集まり場所

 

  • 重心線=体重が落ちる方向

 

  • 支持基底面=足元の土台

 

  • 安定=止まることではない

   ⬇

  • 安定=動き続けられること

 

青安錦関は

  • 自分の不安定を止めず
  • 先に相手の土台を壊す

そのために

  • 低い重心
  • 前傾
  • 動き続ける支持基底面

を使っています。

 

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