Health and self-therapy information
asa Health Information 2025. 10月号 秋に起こりやすい身心の乱れと対処
秋の始まりや季節の変わり目に、体調不良や気分の落ち込み、精神状態の不安定さを訴える人が増える傾向ですが、これは多くの要因が重なって起こると考えられています。
🌿主な原因と背景
1. 日照時間の変化
秋になると日が短くなり、太陽光を浴びる時間が減ります。
太陽光は脳内の セロトニン(気分を安定させる神経伝達物質) を活性化させる大事な要素。
減少すると気分の落ち込みや意欲低下につながります。
2. 体温調整・自律神経の乱れ
朝晩の寒暖差が大きくなり、自律神経(交感神経と副交感神経)の切り替えがスムーズにいかなくなります。
その結果、倦怠感、頭痛、めまい、不眠などの不調や、精神的不安定さが出やすくなります。
3. ホルモンの影響
日照不足により メラトニン(睡眠ホルモン) の分泌リズムが乱れ、睡眠の質が落ちやすい。
睡眠不足は気分変調やうつ状態を悪化させます。
4. 生活リズムの変化
夏の活動的なリズムから、秋は急に静的・内向的な過ごし方に切り替わりがち。
「やる気が出ない」「孤独感が増す」など心理的影響が強まります。
5. 心理的要因
秋は「行事・仕事の繁忙期の始まり」「夏が終わる寂しさ」など、感情的な影響も受けやすい時期です。
🌞 対策のヒント
- 朝の光を浴びる(散歩・窓辺での深呼吸)👉 セロトニンの分泌も活性化され精神的にも安定します。
- 軽い運動で自律神経を整える(ヨガ・ストレッチ・ウォーキング)👉 交感神経と副交感神経のバランスが整いやすくなります。
- 季節の食材で栄養をバランスよく(サンマ、きのこ類、根菜、ナッツなどはセロトニン合成にも役立つ)
- 睡眠のリズムを崩さない(特に起床時間を一定にする)👉 メラトニンの分泌を安定化させます。
- 気持ちの落ち込みが強ければ、早めに専門家に相談 👉 うつ病などにならないように予防します。
✨ まとめ
秋の始まりの体調不良や精神の不安定さは、日照の減少による脳内物質の変化、自律神経の乱れ、生活リズムの移行が重なって起きるもの、と考えられます。
🍂 東洋医学(中医学)の視点から秋に起こりやすい身心の乱れと体質別対処
💠 秋に特徴的な乱れ
- 五行で秋は「肺」と「大腸」 に関連
- 外界の「燥邪(乾燥の邪気)」の影響を受けやすい
💠 症状:
- 咳、喉の乾燥、皮膚のかさつき、便秘、憂うつ感、悲しみ
(心理面)
- 秋は「悲(かなしい)」の感情に結びつくとされ、孤独感や寂しさが強く出やすい。
💠 中医学的対処
- 潤いを与える食材(梨、百合根、白きくらげ、蜂蜜、大根など)
- 深い呼吸や呼吸法(肺を養う)
- 適度な発汗運動(過剰な汗は禁物)
- 生活リズムを安定させ、早寝早起き
✨ まとめ
中医学:秋は「肺・大腸」と「乾燥・悲しみ」の季節 → 潤いを養い、悲を和らげる生活を。
晩秋から初冬へ 雨飾山
🌿 東洋医学の視点で秋に乱れる「肺」・「大腸」経脈と西洋医学の免疫との関係性
五行では「肺・大腸」は 表裏関係 にあり、共に「気」「防衛(衛気)」に関わるとされます。
肺は「気を主る」臓器であり、外界からの邪気を防ぐバリア(免疫力)を調整。
大腸は不要なものを排泄する機能で、体内の浄化と免疫バランスに関わる。
よって、肺・大腸の不調 → 皮膚の弱まり、風邪をひきやすい、便秘・下痢といった免疫低下が起きやすい、と説明されます。
🔬 西洋医学の視点との対応
✅ [西] 呼吸器系(肺)⏩ [東]『肺経脈』
- 外から侵入する病原体(ウイルス、細菌、花粉など)に最初に接触する場所。
- 気道粘膜の線毛運動や分泌される免疫物質(IgA抗体など)が、異物をブロック。
✅ [西] 消化器系(大腸)⏩ [東] 『大腸経脈』
- 腸には 免疫細胞の約7割 が集まるとされ、腸内細菌叢とともに免疫系をコントロール。
- 腸のバリア機能が低下すると、全身の免疫異常や炎症を引き起こす。
🌱 まとめ
肺・大腸系が免疫と強く結びつくのは、
呼吸器系による外界防御(肺)
消化器系による内界防御(大腸)
この両方が「外からの侵入を防ぐ」「内側を守る」二重の免疫ラインになっているためです。
🌿 アーユルヴェーダ(ドーシャ理論)の視点から秋に起こりやすい身心の乱れと体質別対処
ドーシャの体質と特徴と起こりやすい疾患
ドーシャ体質 | 体の特徴 | ドーシャ過剰による症状 | 起こりやすい疾患 |
ヴァータ体質 |
俊敏・活発 すばやく軽快 傷の治りが速い |
便秘、寒がり、 腹部膨満、痛み、 不眠、皮膚の乾燥 |
下半身異常(坐骨神経痛、腰痛、冷え性、大腸疾患) 神経疾患(頭痛、脳卒中、パーキンソン病) 循環器疾患(狭心症、高血圧、心筋梗塞) |
ピッタ体質 |
快食、快便 体が軟らかい 皮膚が輝く |
皮膚発疹、出血しやすい 胸やけ、灼熱感 目の充血、下痢 |
胃・十二指腸疾患、心疾患 肝臓・胆嚢・膵臓疾患 アルコール依存症、皮膚病 |
カパ体質 |
体力・持久力がある 体格がよい よく眠れる |
だるさ、眠気、 口内が甘い、痰が多い、 鼻水・鼻づまり |
気管支疾患、喘息、鼻炎 糖尿病、関節炎、腫瘤性疾患 |
ドーシャと季節の関係
ドーシャ | 季節 |
ヴァータ | 晩秋~初冬 |
ピッタ | 夏~秋 |
カパ | 冬~春 |
💠 秋に特徴的な乱れ
- 秋は特に ヴァータ(風・空のエネルギー) が乱れやすい季節とされます。
- 乾燥・冷え・風の性質が強まり、心身を不安定にします。
💠 ドーシャ別の症状と対処
1. ヴァータ体質
◊ 傾向:乾燥肌、冷え、便秘、不眠、不安や落ち込みが強まりやすい
◊ 秋の乱れ:乾燥・冷えで最も影響を受けるタイプ
◊ 対処:
- 温かいオイルマッサージ(ごま油)
- 温かく消化しやすい食事(スープ、煮込み料理)
- 生活リズムを規則正しく
- ゆったりした呼吸法や瞑想
2. ピッタ体質
◊ 秋の乱れ:夏の熱が残って、秋に皮膚トラブル・イライラ・胃腸不調が出やすい
◊ 対処
- 涼性・甘味・苦味の食材(梨、きゅうり、アロエ、ゴーヤ)
- 穏やかな散歩や月光浴
- 辛味・アルコール・過労を避ける
3. カパ体質
◊ 秋の乱れ:乾燥の影響は少ないが、湿気が残ると痰・鼻水・だるさが出る
◊ 対処
- 軽い運動で代謝を上げる(ウォーキング、ヨガ)
- 香辛料や温性の食材(生姜、シナモン、黒胡椒)
- 油分・甘味・冷たいものを控える
✨まとめ
アーユルヴェーダ:秋は ヴァータ増悪 → 温かさ、安定、潤いを意識。
体質別ケア:
♠ ヴァータ → 温め・潤す・規則正しい生活
♥ ピッタ → クールダウン・怒りを鎮める
♦ カパ → 活動性を保ち停滞を防ぐ
初秋の涸沢カール