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真実を観る「眼力」55 まねる ② 『表情をつくる・行動する・体現する』=『心を整える』
「表情」は脳と感情のスイッチになっているので、「表情」を意図的に作ることで、感情や心をコントロールすることが出来るという事なのですが、つまり「表情」を作る=肉体で「体現」するとは、自身の内面、心、感情を意識的にコントロールするということにつながるということで、「表情を作る」・「体現する」=意識的に自分の「心・感情を整える行為」であり、それは最終的に人生のあり方や生き方にも影響を与えることになります。
人は、生物進化の初期段階においては生命を維持させていくために、原始的な脳は身体運動(脳幹、小脳、基底核などの旧脳)などをまずは作り出し、高度な情報処理や思考などを司る大脳新皮質などの脳は、後から派生させてきたことが脳の構造から伺われます。大脳新皮質は旧脳の上に乗っている構造です。
脳の構造から、人間の脳と身体は「身体運動・行動=(出力)」を最優先するように進化し、それに合わせて「感覚・認知=(入力)」が後から補完されてきた構造になっています。
つまり脳は元々、「“出力=行動”」のために発達した器官であり、「身体性=出力」が「精神性=入力」に先立ちできた後、心や思考は、その「身体性」回路を“借りて”発達してきました。
<脳と身体は「身体運動・行動=(出力)」を最優先するように進化>
🧠①「脳=身体制御装置」が出発点だった
✅ 進化の歴史から見る脳の成り立ち
脳は最初、身体の動きを制御するために発達した。(出力)
約5億年前、原始的な動物は“動く”ために神経系(脳の原型)を持ち始めた。(出力)
このころの脳は筋肉を動かす(運動)ための出力装置。(出力)
一方、言語や論理思考の機能(精神性)は約10万年前に発達したばかりで、脳全体の歴史からすると非常に新しい。(入力)
🧠 ② 脳の進化:旧脳 → 新皮質(出力する脳が先に出来上がった)
分類 | 脳の部位 | 機能 | 出力 vs 入力 |
旧脳 | 脳幹(生命維持中枢) | 呼吸、心拍、姿勢反射など | 出力:反射的行動制御 |
旧脳 | 大脳基底核 | 習慣的な運動、運動の選択 | 出力:行動の調整 |
旧脳 | 小脳 | 運動学習、バランス制御 | 出力:精緻な運動制御 |
旧脳 | 大脳辺縁系 | 感情、欲求、行動動機づけ | 出力:行動駆動型の感情反応 |
新皮質 | 大脳新皮質(進化後) | 思考、言語、意識、感覚 | 入力:知覚と認識の処理 |
🧠 ③ 脳の中で先に発達したのは「運動の中枢」、思考や感覚処理はそれに付随して進化
→「考える前に動く」=(出力)⇒(入力)が本来の脳の順序であることを物語る。
🧠 ④ 記憶も「出力型」が定着しやすい
読むよりも話す・書く・教えるといった出力を通したほうが記憶は定着する。
この理由は、脳が「使った回路を強化する」仕組みを持つため。
つまり、「出力を通して記憶する」設計なのです。
💪 ⑤ 身体構造は出力(運動)に最適化されたデザイン
【身体の設計】
◉骨格と筋肉:運動と移動に特化。入力機能(感覚器)はごく限られた部位(目、耳、皮膚など)。
90%以上の筋肉と骨格 = 移動や運動、行動用 『出力系』
感覚器は小さく集中(目・耳・舌・皮膚) 『入力系』
◉脊髄反射:脳を介さず直接運動出力を起こすシステムが備わっている。『出力系』
◉感覚入力よりも、運動出力に使われるエネルギーと神経リソースの方が多い。
📍つまり:入力(感覚)は、運動(出力)を調整・補助するために存在している構造。
🔑⑥ 応用:なぜ「行動すること」が先なのか?
「感情を変えたいなら、まず表情を変えなさい」(表情→感情への逆作用)表情フィードバック仮説
「姿勢を変えれば、気分も変わる」(身体→脳へのフィードバック)
「行動すれば脳が意味づけしてくれる」(認知の後追い)
🧠 これらはすべて、「脳が出力ベースに構成されている」から。
<身体を通して心を整える:身体→心の流れ>
✅キーワード:身体性(embodiment)
「身体は心の容れ物」ではなく、「身体を使うことで心が形づくられる」という考え方です。
🌱①「健全な精神は健全な身体に宿る」科学的な意味
古代の格言ですが、脳の進化と構造から見ても非常に理にかなっています。
精神の安定・感情の調整は、身体性(運動・姿勢・呼吸など)を通して制御するほうが効果的。
ヨガ、呼吸法、瞑想、運動療法などが有効なのもこれに一致します
🌿② 行動・表情・姿勢が感情に与える影響の例
行動・表現 | 心への影響 | 背景にある生理・神経反応 |
笑顔を作る | 不安がやわらぎ、ポジティブな気分 | ドーパミン・セロトニンの分泌増加 |
胸を張る・背筋を伸ばす | 自信が湧く、やる気が出る | コルチゾール減少、テストステロン上昇(パワーポーズ効果) |
猪木顔で気合を入れる | 闘争心、集中力、ゾーン状態へ | アドレナリン、交感神経の活性化 |
深呼吸・ゆっくり歩く | 心が落ち着き、穏やかになる | 副交感神経の活性化、オキシトシン分泌 |
祈る、手を合わせる | 感謝や謙虚な気持ちが生まれる | 前頭前皮質の働きが高まり、利他的思考が促される |
【胸を張って歩く鳩胸の鳩】
🌀 ③ 行動が「習慣化」すると、生き方が変わる
◆例1:いつも背筋を伸ばして歩く
→ 「私は堂々としている人間だ」という自己認識が強化
→ 難しいことにも挑戦するようになり、現実も変化
◆例2:朝に笑顔で鏡を見る習慣
→ ポジティブな自己イメージが脳に刷り込まれ、自己肯定感が高まる
→ 人間関係や行動選択が自然にポジティブへ
🔁まとめ:行動・表情・姿勢が感情・人生を変える
- 身体性を通した行動が、内面(心・意識)に影響を与える
- 表情や姿勢、呼吸などの「体の使い方」が、脳の神経伝達やホルモン分泌を変え、感情・心の状態に影響
- それを日常的に意識的に実践することで、習慣化 → 人格形成 → 生き方の変化へとつながる
- 「体現すること」は、意識の表出であり、自分自身を創造していく行為
🌟 極意
武道の「型の稽古=心の鍛錬」
→「心を変えたければ、まず身体を整えよ」という教え。