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2025-05-31 23:46:00

真実を観る「眼力」45 利他と利己4 ヤマ・ニヤマの「エネルギーのバランス」と「エネルギーの循環」

ヤマ(外的規律)とニヤマ(内的規律)は独立した要素でありながら、深い相関性(補完・共鳴関係)があり、ヤマ(禁戒・守るべきこと)、ニヤマ(勧戒・行ったほうが良いこと)をエネルギー的な側面として観たとき、この両教えには「エネルギーのバランス」、「エネルギーの循環」との間に密接な繋がりがあります。

 

<エネルギーの法則>

エネルギー保存の法則、エネルギー等価性、熱力学第1法則は、エネルギーの変換と保存に関する基本的な原則です。このエネルギーの法則からは、ある形態から他の形態へ変換する前後で、エネルギーの総量は常に一定不変であるということです。

これらを理解することでエネルギーのバランスや均衡についても理解が深まります。

それぞれの法則を簡潔に説明し、エネルギーのバランスや均衡の大切さについて考えてみます。

1. エネルギー保存の法則

定義: エネルギー保存の法則は、エネルギーは創造されず消失することはなく、ただ形を変えるだけであるという原則です。つまり、エネルギーの総量は常に一定です。

例: 例えば、食べ物から得た化学エネルギーは、身体の運動エネルギーや熱エネルギーに変換されますが、エネルギーの総量は変わりません。

2. エネルギー等価性

定義: エネルギー等価性は、異なる形態のエネルギー(運動エネルギー、位置エネルギー、熱エネルギーなど)が互いに変換可能であることを示します。

例: 高い位置にある物体(位置エネルギー)は、落下することで運動エネルギーに変わります。この変換においても、エネルギーの総量は変わりません。

3. 熱力学第1法則

定義: 熱力学第1法則は、エネルギーの保存に関する法則であり、エネルギーの変化は、システムに加えられた熱と行った仕事の合計に等しいというものです。

熱エネルギーも1kWhというエネルギーを利用する場合は860kcal以上の熱量を生み出すことができないという法則で、電気エネルギーを考えた場合、1kWhのエネルギーは860kcalでありこれは変化しない熱力学第一法則とも呼ばれています。

孤立するエネルギーは、Aという状態からBという異なる状態に変化が生じてもエネルギーの総量は変わらないと言う事になります。

 

<エネルギーのバランスと均衡>

これらの法則を踏まえると、エネルギーのバランスや均衡について以下のように考えることができます。

1. エネルギーの入出力:

• すべてのシステム(身体、機械、環境など)はエネルギーの入出力を持っています。

2.身体・心のエネルギー:

【♣ 身体のエネルギー:】

• 入: 食事や休息からエネルギーを得ることが重要です。栄養素は身体の機能を支えるためのエネルギー源です。

• 出: 運動や仕事を通じてエネルギーを消費します。過度な消費は疲労を引き起こし、逆に不足は健康を損ないます。

エネルギーが入る(例:食事 / 休息・睡眠)

                ⇓     ⇓                                 

エネルギーが出る(例:熱放散 / 運動・活動)

この入出力のバランスが重要です。

【♥ 心のエネルギー:】

• ストレスや感情的な負担もエネルギーを消費します。心の健康を保つためには、リラクゼーションや趣味、社交などの活動が必要です。

趣味、リラクゼーション、社交

      ⇓  

心の安定、平安

3. エネルギーのバランスと均衡:

【♠ バランス】

• エネルギーのバランス: 身体、脳、心のエネルギーの入出力がバランスを保つことで、健康的な生活が維持されます。エネルギーが不足すると、疲労やストレスが蓄積し、逆に過剰なエネルギー消費は身体や心に負担をかけます。 エネルギーのバランスが取れていると、身体的な健康だけでなく、精神的な健康やパフォーマンスも向上します。逆に、バランスが崩れると、病気やストレス、パフォーマンスの低下を引き起こす可能性があります。

【♦ 均衡】

• エネルギーの入出力が均衡している状態は、システムが安定していることを示します。

例えば、身体が必要なエネルギーを摂取し、消費するエネルギーと等しい場合、健康を維持しやすくなります。

4. エネルギーの変換:

• エネルギーは常に変換されており、ある形態から別の形態に変わることができます。この変換がスムーズに行われることで、システムは効率的に機能します。例えば、食事から得たエネルギーが運動や思考に使われることで、身体や脳が活発に働きます。

5. エネルギーの不足と過剰:

• エネルギーの入出力が不均衡になると、身体やシステムに悪影響を及ぼします。エネルギーが不足すると疲労や病気を引き起こし、逆に過剰なエネルギー消費はストレスや過労を招くことがあります。

エネルギーの法則からも、例えば入力が10で出力も10であれば入出力バランスが均等しEgバランスが良い循環状態ですが、しかしながら人間は心身の不調、病気、など常に肉体を心身ともに良好に保てているわけではなく、入力系と出力系にアンバランスが生じます。むしろ入出力バランスが均衡しEgバランスが良い状態のヒトのほうが少ないくらいです。

このようにエネルギーの法則を理解することで、エネルギーの入出力とそのバランスがいかに重要であるかがわかります。エネルギーの均衡が保たれることで、身体やシステムは健康で効率的に機能し、持続可能な状態を維持することができるのです。

 

<エネルギー的な側面からの観るヤマ(「出力」・外に向かう行動)とニヤマ(「入力」・内を整える自己修養)>

ヤマを「外向きのエネルギーの出力(アウトプット)他者との関係を整える」、

ニヤマを「内向きのエネルギーの入力(インプット)自己との関係を整える」と捉える。

 

1.ヤマ=出力(行動として現れるエネルギー)
ヤマは他者や社会に対する関わり方に現れる「実際の言動や態度」です。このエネルギーの方向性は「外向き・出力」です。

ヤマ  禁戒(守るべきこと)
非暴力(アヒムサ) 怒りを抑え、優しさを表現する
正直(サティヤ) 誠実さを伝える言葉を発する
不盗(アステーヤ) 相手の所有を尊重する行動
禁欲(ブラフマチャリヤ) 節度をもった関わり
不貪(アパリグラハ) 執着を手放す姿勢

これらは自制と意志によって他者へ向けて放たれるエネルギーです。

 

2.ニヤマ=入力(内面を整えるためのエネルギー)
ニヤマは自己に向けた内省的な実践であり、外の影響を受けて消耗したエネルギーを補充し、調律する行為です。このエネルギーの方向性は「内向き・入力」です。

ニヤマ 勧戒(行ったほうが良いこと)
清浄(シャウチャ) 心身の浄化=入力の質を整える
知足(サントーシャ) 内なる満足=安定的な心の源泉
苦行(タパス) 意志力を養う=持続可能な出力の燃料
自己学習(スヴァディヤーヤ) 自己学習=知性と直感の入力
神への献身(イーシュヴァラ・プラニダーナ) 手放し=心の再起動

 

<ヤマ(出力)とニヤマ(入力)の相互関係>

ヤマとニヤマは、外に向かう行動の「出力」と、内を整える自己修養の「入力」として、相互に支え合うエネルギー循環の両輪です。

どちらかに偏ると「燃え尽きる」または「停滞する」。

両者のバランスは、善き生き方(ダルマ)をエネルギー面から実現する鍵となります

【相互補完性:】

ヤマ(外的規律)とニヤマ(内的規律)は独立した要素でありながら、深い相関性(補完・共鳴関係)があります。それぞれのヤマに対応するニヤマを組み合わせることで、内面と外面が協調し、精神の統合が進むと考えられます。
ヤマとニヤマの相関的な意味づけを説明します。

① アヒムサ(非暴力)× シャウチャ(清浄)

ヤマ(外的規律) ニヤマ(内的規律)
非暴力(アヒムサ) 清浄(シャウチャ)
他者に害を与えないこと 心身と意識の純粋性を保つこと

相関性:清らかさが暴力を防ぐ

内面が混濁していると、他者への暴力的な衝動が生まれやすい。逆に、内面を清浄に保つことで、自然と非暴力が実現される。「非暴力は清浄な心から生まれる」


② サティヤ(正直)× サントーシャ(知足)

ヤマ(外的規律) ニヤマ(内的規律)
正直(サティヤ) 知足(サントーシャ)
真実を語り、偽りを避ける 今あるものへの満足と感謝

相関性:満足が誠実さを育む

人は不満や不足感から嘘をつきやすくなる。内に「足りている感覚」があると、無理に飾る必要がなくなる。知足があることで、ありのままを語る誠実な正直さが養われる。


③ アステーヤ(不盗)× タパス(苦行・自己鍛錬)

ヤマ(外的規律) ニヤマ(内的規律)
不盗(アステーヤ) 苦行(タパス)
他者のものを奪わない 自らに課す規律、忍耐、情熱の火

相関性:努力が盗みの衝動を抑える

盗みの背後には「努力せずに得たい」という欲望がある。タパスの実践により、欲望に頼らず、正しい努力で得ようとする心が育つ。つまり、苦行が不盗を根底から支える。


④ ブラフマチャリヤ(禁欲・節制)× スヴァディヤーヤ(自己学習・読誦)

ヤマ(外的規律) ニヤマ(内的規律)
禁欲(ブラフマチャリヤ) 自己学習(スヴァディヤーヤ)
欲望に支配されない節度 内省と自己探求

相関性:真理への探究が欲望を超える

節度を保つには内面の明確な目的意識と自己理解が不可欠。自己学習を通じて、自分の在り方や魂の目的を知ることで、衝動的な欲望を超えた行動が可能となる。学びが節度を導く。


⑤ アパリグラハ(不貪)× イーシュヴァラ・プラニダーナ(神への献身)

ヤマ(外的規律) ニヤマ(内的規律)
不貪(アパリグラハ) 献身(イーシュヴァラ・プラニダーナ)
執着を手放し、所有欲に縛られない 結果を手放して神に委ねる

相関性:執着は信頼によって癒される

執着は「自分が結果を支配したい」という欲求からくる。神への献身はその執着を溶かし、

「自分が持つべきものは与えられる」という信頼を養う。手放しは、深い信仰と繋がっている

 

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<ヤマとニヤマ、循環の原理>

【エネルギー循環:呼吸のようなリズム】
ヨーガにおける呼吸(プラーナーヤーマ)と同じく、

ニヤマ=吸気(自分を満たす)

ヤマ=呼気(他者に与える)

このリズムが健全に保たれていれば、出しすぎて消耗することもなく、溜め込みすぎて停滞することもない。
つまり、ヤマとニヤマは「呼吸のような双方向のエネルギー循環の原理」と考えられます。

 

<ヤマ・ニヤマのエネルギーの方向性とエネルギー循環の視点>                           

項目 ニヤマ(入力) ヤマ(出力)
目的    内面の整備・回復・養育 社会や他者との関係の調和
エネルギーの方向性 内向き(取り込む、受け止める) 外向き(与える、表現する)
エネルギー循環の視点   出力を支える内的資源を育む    入力されたエネルギーを形にする
実践の順序的な特徴  自分を調律することで出力が整う 出力を通して内面の癖に気づける

 

<ヤマとニヤマをバランスさせるための実践的視点>

ヤマを「外向きのエネルギーの出力(アウトプット)他者との関係を整える」、ニヤマを「内向きのエネルギーの入力(インプット)自己との関係を整える」と捉えると、両者のバランスは心と行動に一貫性を生み、“心身の健全な循環”を成立させます。

1. 内面が乱れているときはニヤマを優先:疲れて人に優しくできないときは、まず自分の心身を整える(シャウチャ、サントーシャ)。
2. 他者との摩擦が多いときはヤマを見直す:コミュニケーションが乱れているときは、非暴力や誠実さに立ち返る。
3. 日常の中で“入力→出力”のリズムを意識する:朝はニヤマ的な内省時間、日中はヤマ的な行動時間、夜は再びニヤマ的休息を取るなど、意識的にサイクルを作る。

 

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<まとめ>
このように、ヤマとニヤマはそれぞれが「鏡のように反映し合う内外のペア」として働きます。外的倫理の実践(ヤマ)を深めるには、内的変容(ニヤマ)が不可欠であり、その逆もまた然りです。

 

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