Health and self-therapy information
真実を観る眼力 31 情報操作と洗脳⑨ 鳥インフルエンザ機能獲得変異とプランでミック
米国疾病対策センター(CDC)は2024年12月、ルイジアナ州で米国初の鳥インフルエンザの重症患者が確認されたと発表していたが、同州の保健局は2025年1月6日、この患者が死亡したと発表した。鳥インフルでの死亡例は米国で初となる。
州保健局によると、亡くなった患者は65歳以上で基礎疾患があり、入院後に死亡した。 この患者は、自宅の裏庭で飼っていた病気や死んだ鳥、野鳥との接触があり、鳥インフルエンザA(H5N1)への感染が確認されたという。アメリカ疾病予防管理センター(CDC)は12月、この患者から採取された鳥インフルエンザウイルスの遺伝子を解析した結果、患者の体内で変異を起こした可能性があると発表した。
また、CDCによれば、2024年4月以来、米国では少なくとも鳥インフルエンザの感染が66人で確認されている。そのほとんどが、ニワトリやウシとの濃厚接触によるものだ(66人中2人は感染源がわかっていないが、ヒトからヒトへ感染した証拠はない)。 アメリカでは、家禽や畜牛への鳥インフルエンザ感染が拡大している。
人への感染例はほとんどが軽症で、感染者の多くが病気の家禽や乳牛に接触がある農場労働者だ。 世界保健機関(WHO)によると、世界全体では950件以上の鳥インフルエンザ感染が報告されており、そのうち約半数が死亡している。
CDCは、一般市民の感染リスクは低いものの、家禽や牛、野生動物、非加熱・非殺菌の牛乳を取り扱う仕事に従事している人々は、感染リスクが高いと注意喚起している。 ルイジアナ州で確認されている鳥インフルエンザの感染例は亡くなった患者のみで、人から人への感染は確認されていないという。 ルイジアナ州保健局は、鳥インフルエンザへの感染を避けるために▽病気や死んだ野鳥など、鳥インフルエンザウイルスへの感染の疑いのある動物との接触を避ける▽病気の動物や死んだ動物、その排泄物にペットが近づかないようにする▽適切な温度で調理していない卵や肉、牛乳などの動物由来製品を避けるなどを呼びかけている。
野鳥によって広められるH5N1型鳥インフルエンザウイルスは、世界各地の養鶏場で何度も大流行を引き起こし、養鶏業者の悩みの種になっている。養鶏場のニワトリがこのウイルスに感染すると、内出血を起こして複数の臓器が破壊され、致死率はほぼ100%になる。
鳥インフルエンザ感染の致死率はニワトリで高いのは周知のとおりだが乳牛にも感染が広がっているようだ。
2024年3月以来、このウイルスは米国の16州の800以上の乳牛群に広がっている。そのうちの500以上がカリフォルニア州で、感染の制御ができない状態にある。12月18日には、カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事が、このアウトブレイク(集団感染)に対応するために非常事態宣言を行った。
公衆衛生の専門家は、殺菌していない生乳は飲まないようにとも助言している。もちろん、食料品店で販売されている牛乳は殺菌処理されているため、安全に飲むことができる。
近年、H5N1型は不気味な進化を遂げている。2022年には、H5N1型の哺乳類から哺乳類への感染がアルゼンチンのゾウアザラシで初めて確認された。群れが罹患して数千頭が死亡した。致死率は97%だった。
ただ、人から人への感染は例はあるようだけど、現状極めてまれで、人→人の感染力は極めて弱いものの、H5N1型が急速に人間の生理学に適応しつつあることを示す証拠がある。
2024年12月5日付けで学術誌「サイエンス」に発表された研究によると、乳牛に感染したウイルス株のタンパク質のアミノ酸(構成要素)がたった1つ置き換わる遺伝子変異だけで、ヒトの気道の細胞に簡単に付着できるようになるという。 その変異は11月にカナダのブリティッシュ・コロンビア州で鳥インフルエンザに感染し、集中治療室で治療を受けた子どもから採取したウイルスでも見られた。これが重症化に関わっている可能性がある。それでも科学者たちは、まだヒトからヒトへの感染の証拠はないと言う。
CDCは、現時点でのH5N1による公衆衛生上のリスクは「低い」としている。しかし、ヒトからヒトへと感染する能力を持つウイルス株が新たに誕生すれば、状況は一変するかもしれないという。
これが人→人感染が容易に起こるような変異が発生すると、非常に恐ろしい。
第一次大戦中に猛威を振るったスペイン風邪(現在のA型インフルエンザの祖先)も、元はと言えば鳥インフルエンザから変異したと言われる。人の間で感染が拡大した当初は、非常に死亡率が高かった。 コロナも、今でこそただの風邪程度になりつつあるが流行初期は非常に死亡率が高かったが、鳥インフルエンザが人→人感染を起こすようになると、当初の死亡率はそれどころではない高さになる恐れがある。5000万人以上の死者を出した1918年のスペインかぜのように深刻化するのか、あるいはその中間になるかを予測するのは不可能だ。
動物からヒトへの鳥インフルエンザ感染が起こるたびに、ウイルスはヒトからヒトへと感染する能力を獲得する機会を得る。この分水嶺を越えると、パンデミック(世界的大流行)が始まる可能性がある。現時点でH5N1型が分水嶺を通過した証拠はないが、それが起こらないとは言い切れない。
「鳥インフルエンザウイルスについて現時点で明らかになっていることから考えると、これは良くない傾向で、本気で対策する必要があります」と米メイヨー・クリニックの微生物学者で呼吸器疾患を専門とするマシュー・ビニッカー氏は言う。
鳥インフルエンザの感染拡大を食い止めるには、早期の発見と迅速な対応が鍵となる。米国では現在、農場のスタッフなど、感染の可能性が最も高い人々を対象に「積極的サーベイランス」を実施するほか、ワクチンの製造も急いでいる。CDCによると、H5N1型に対するワクチン候補は2種類ある。2025年4月までに1000万回分のワクチンを製造する計画だという。 ヒトからヒトへの感染が起こった場合、そのワクチンは感染者グループの周囲の人々に接種される。それ以外の人々にできる最善の策は、季節性インフルエンザの予防接種を受けることだという。これにより流行中のウイルスの量を減らし、感染拡大の可能性を下げられる。
ヒトからヒトへの感染がいつ、どこで発生するのか、そもそもその可能性があるのかどうかも、予測するのは難しい。確かなのは、ヒトからヒトへと感染するタイプのH5N1型インフルエンザウイルスが出現する可能性がかつてないほど高まっているということだけだ。
米国で初の鳥インフル死者、ヒトでのパンデミックは起こるのか最新情報 NSTIONAL GEOGRAPHIC 1/7(tue)配信
米で鳥インフルエンザ初の死者。自宅で死んだ鳥と接触後に感染が確認される HUFFPOST 1/7(tue)配信
以上、要約。
鳥インフルエンザウイルスの機能獲得変異研究
Natureダイジェスト 抜粋引用
原文 Nature (2013-08-08) | DOI: 10.1038/500121a 抜粋引用
鳥インフルエンザウイルスH7N9亜型は、ヒトに感染して大流行を起こすほど進化する恐れがあり、ウイルスの機能獲得変異研究が再び研究者の注目を集めている。研究のリスクを正当化できるかどうか論争が続いているが、事は慎重に進める必要がある。
鳥インフルエンザウイルスH7N9亜型は、2013年3月に中国で初めて報告されて以来、これまでに少なくとも134人が感染し、そのうちの43人が死亡している。幸いなことに、ヒトからヒトへの容易な感染を示す兆候はなく、ニワトリやその他の家禽との接触を通じたヒトへの散発的な感染にとどまっている。
そこで研究者は、遺伝子操作によって哺乳類における感染性と病原性を高めたH7N9亜型ウイルスを作製する研究を進めようと考えている。
NatureとScienceに同時掲載されたCorrespondence論文(Nature 2013年8月8月号150ページ参照)で、エラスムス医療センター(オランダ・ロッテルダム)のRon Fouchier、ウィスコンシン大学マディソン校(米国)の河岡義裕など22人の科学者は、こうした研究がH7N9亜型ウイルスの「パンデミック(大流行)の可能性」を評価する上で役立つと主張している。ただ、この研究にはジレンマがある。偶然にせよ故意にせよ、組換え株が実験室から流出すれば、インフルエンザの大流行につながる危険性があるのだ。
Natureは、リスクを正当化する手段として公衆衛生に対する利益を過大評価することについて、研究推進派の科学者が少なくとも短期的には慎重になるべきだと考えている。
ここでは、物事を冷静に見通す目が重要となっている。研究が最高のバイオセーフティー基準に従って行われれば、明らかに長期的な利益、例えばウイルスの感染性と病原性の仕組みに関する手掛かりなどが得られるだろう。しかし、公衆衛生やH7N9亜型ウイルスの脅威に対して、短期的な直接的利益が得られるかどうかはあまり明確ではない。科学者に大流行の予測はできないので、その可能性の評価やどのウイルス株に対してワクチン試作品を製造するかは、結局、相対的なリスク判定によるしかない。
確かにフェレットのような動物モデルにおけるインフルエンザウイルスの挙動を調べれば、感染性や病原性に関する情報が得られるが、その結果をヒトに当てはめることには困難を伴うことがある。2013年に入って、フェレット間でのH7N9亜型ウイルスの限定的な空気感染を明らかにした論文が次々と発表されているが、ヒトからヒトへの感染は確認されていないのだ。
大流行の可能性を評価するもう1つの方法は、野生型ウイルスが変異して、ヒト細胞に侵入しやすくなるかどうかを監視することだ。H7N9亜型ウイルスは、すでにそうした変異の一部を獲得しており、H5N1亜型よりもヒトに感染しやすくなっている。しかし、そうした変異から大流行のリスクを予測できるような科学的証拠はないとする論文が、6月に発表された。感染性は、そんなに単純な話ではないのだ。
哺乳類に感染するH7N9菌株を作製する研究では、さらに一歩進めて、フェレットやその他のモデルにおいて、ウイルスの感染性を高める変異の組み合わせを同定することを目指している。一方で、実験で得られた変異の組み合わせとは別の組み合わせによる感染が、自然に生じる可能性もある。
致命的ウイルスの改変実験を解禁
Natureダイジェスト 抜粋引用
原文Nature (2018-01-04) | DOI: 10.1038/d41586-017-08837-7
米国政府は、特定の病原体の致死性もしくは感染力を高めるような「機能獲得」実験への研究助成金の交付を禁止していたが、論議を呼んだこの措置が最近解除された。米国立衛生研究所(NIH;メリーランド州ベセスダ)が2017年12月19日、連邦政府からの助成金を使って再びインフルエンザウイルスなどの病原体を対象とする機能獲得実験が実施できるようになると発表したのである。ただしNIHによれば、助成金申請は従来以上に精査されることになるという。
機能獲得研究のメリットについては長年議論が交わされており、今回の禁止措置解除の決定を受けてこの議論も再燃しそうである。
ウィスコンシン大学マディソン校(米国)と東京大学医科学研究所に所属するウイルス学者、河岡義裕は、助成金交付の一時禁止によって影響を受けた研究者の1人であり、今回の新しい枠組みは「重要な成果」だと話す。河岡は、鳥インフルエンザウイルスのどのような分子変化が鳥からヒトへの感染を起こしやすくするかを研究しており、現在は、生きたウイルスを使った実験に対する助成金交付の申請を計画中である。
一方で、ハーバード大学T・H・チャン公衆衛生大学院(米国マサチューセッツ州ボストン)の疫学者Marc Lipsitchは、機能獲得研究は「パンデミックに対する備えの向上に、これまでほとんど役立っていません。むしろ、偶発的にパンデミックを作り出してしまう恐れすらありました」と話す。
Lipsitchは、そのような実験はやるべきではないと考えている。しかし、米国政府がそうした実験に助成金を交付することになるのなら、格別に厳しい審査があってしかるべきだと彼は話す。
ウイルスの機能獲得変異研究は、核のボタンで遊ぶのと同じ
日経 BOOK PLUS 2024.10.15 引用
<病原体の実験が起こしたパンデミック>
世界で最も安全とされるある研究所で、研究者グループが極めて危険な病原体の実験を行っていた。その後何が起こったか、誰にも分からない。今に至るまで、研究の詳細は闇に包まれている。
確かなことは、秘密主義と政府の強い統制で知られる国で、奇妙な新しい病気が発生したことだ。
まもなくイギリス、アメリカほか、世界中にその病気が広まった。不思議なことに、この病気は自然発生したとは思えなかった。この病気に見られる特徴が科学界に警鐘を鳴らし、これが発生した研究室で何かひどくおかしなことが起きたと示唆された。
この病気による死者数はたちまち増加した。世界で最も安全とされるその研究所は、どうやらそんなに安全ではなかったようだ。
どこかで聞いたような話に思えるかもしれないが、おそらくあなたが考えている病気でない。
これは1977年に流行したソ連かぜとして知られるインフルエンザだ。まず中国で発見され、続いてソ連で検出され、たちまち世界に蔓延(まんえん)し、70万人もの死者を出したと言われる。
このH1N1型が異常だったのは、1950年代に流行したインフルエンザに酷似していたことだ。1977年のソ連かぜが若者に重症感染者を多く出したことは、数十年前から生きている人々より当時の若者のほうがこのインフルエンザに対する免疫が弱いためと考えられた。
何が起こったのか、さまざまな説がある。永久凍土から何かが溶け出したのか? それともソ連の謎に包まれた大規模な生物兵器開発計画の一部か?
だが、今日、最も信憑(しんぴょう)性が高いのは、ある研究所から漏れ出したという説だ。
研究所でのワクチン製造の実験時に何らかの理由で、1950年代に流行したウイルスが外部に漏れ出したとみられる。ソ連かぜの流行は、実は流行を防ごうとする善意の研究によって引き起こされたのだ。
<北京の研究所でSARSは4度漏出した>
生物学研究所は事故防止の世界基準に従う。安全性がいちばん高いのは、バイオセーフティーレベル4(BSL-4)の研究所だ。BSL-4の生物学研究所は、最も危険な病原体の取り扱いに関する最高の封じ込め基準を満たしているとされる。
施設は完全に密閉され、実験室の空気が外に漏れ出ないように陰圧になっている。すべての出入りは徹底的にチェックされる。
内部では全員、陽圧式防護服を着用し、退出時に必ずシャワーを浴びる。使用されたものはすべて最も厳格な手順に従って処分される。
手袋や防護服を突き刺す恐れのある鋭利なものは一切持ち込み禁止だ。BSL-4の生物学研究所の研究員は、人類史上最高に安全な生物学的環境を守る高度な訓練を受けている。
にもかかわらず、事故や漏出は避けられない。
1977年のソ連かぜは一例に過ぎない。わずか2年後の1979年にはソ連の秘密の生物兵器製造施設から漏出した炭疽(たんそ)菌芽胞が50キロメートル四方に広がり、少なくとも66人の命を奪った。
2007年には、BSL-4の実験室を備えていたイギリスのパーブライト生物学研究所で排水管の水漏れがあり、口蹄疫(こうていえき)が発生して1億4700万ポンドの損失を出した。
2021年、アメリカのフィラデルフィア近くにある製薬会社の研究所で、天然痘の小瓶が冷凍庫に放置されているのが見つかった。冷凍庫を片付けていた職員が偶然発見し、幸い職員はマスクと手袋を着用していたので大事に至らずにすんだ。これが漏出していたら想像を絶する被害がもたらされただろう。
天然痘は根絶されているが、それまでに20世紀だけでも推定3億人から5億人の命を奪ったのだ。実効再生産数は感染力の高いコロナ変異株と同等だが、致死率は30倍にもなる。
重症急性呼吸器症候群(SARS)のウイルスはBSL-3の施設で保管されることになっているが、シンガポール、台湾、中国のウイルス研究所から漏れ出した。考えられないことだが、北京の同じ研究所から4度も漏出している。
どれもよくあるヒューマンエラーが原因だった。シンガポールでは、SARSウイルスが保管されていることを知らなかった大学院生が漏出させた。台湾では、研究者が感染性廃棄物の取り扱いを誤った。北京では、バイオセーフティーレベルの低い研究所でSARSウイルスを十分に無害化できず、漏出につながった。
以上はすべて、世界最大のBSL-4の研究室を備え、コロナウイルス研究の中心である中国の武漢ウイルス研究所が話題になる前のことだ。
BSL-4の研究所の数は急増しているものの、グローバル・ヘルス・セキュリティ指数によれば、安全性が高いと評価されるのは、そのうちの4分の1に過ぎない。
1975年から2016年まで、感染性が高く有毒な病原体の意図的または偶発的な漏出が少なくとも71件記録されている。ほとんどは、針がすべった、ガラス瓶からこぼした、実験で小さなミスを犯したなど、最高度に訓練された人間も時折起こしてしまう些細(ささい)な事故だ。
だが、すべての漏出が把握されているとは思えない。事故をすぐに外部に報告する研究者がほとんどいないからだ。バイオセーフティー担当者に対するある調査では、担当者のほとんどが、所属機関以外に事故を報告したことはない、と答えている。2014年のアメリカのリスク評価によると、生物学研究所10機関が10年間に「大きな漏出」を犯した可能性は91%で、それがパンデミックとなる恐れは27%とされる。
何も漏出してはならない研究所から、何度も病原体が漏れ出している。最も厳格な管理手順や技術や規制をもってしても、封じ込めに失敗している。
ピペットを持つ手が震えた、プラスチックシートに穴が空いている、靴に溶液がひとしずく落ちた、どれも偶発的に、付随的に発生する具体的な封じ込め失敗例で、残念ながら周期的に起きる。
だが、合成生命の時代において、こうした事故は巨大なストレス要因であるだけでなく、未曽有の大惨事を引き起こす恐れがある。
<機能獲得研究は核兵器で遊ぶのと同じ>
生物学において、機能獲得研究ほど物議を醸す領域は少ない。機能獲得研究とは、簡単に言えば、病原体を意図的に致死性の高いものに、あるいは感染力の高いものに、またはその両方に変える研究だ。自然界においては通常、感染力と致死性にはトレードオフがある。
一般には感染しやすいウイルスほど、致死性が低くなる。だが、絶対にそうなる理由があるわけではない。どうしてそうなるのか、つまり致死性の高いウイルスが広く伝播(でんぱ)することはあるのか、あるとすればそれに対処するにはどうしたらいいのか。これを突き止めるひとつの方法は、実際に試してみることだ。
そこで機能獲得研究が行われることになる。病原体の潜伏期間はどのくらいか、ワクチン接種による抗体をどのように回避するか、無症状のまま人々の間で感染を広げることはできるかといったことが調査されるのだ。機能獲得研究は、エボラ出血熱、H1N1型インフルエンザ、麻疹(はしか)などを対象として行われてきた。
こうした研究は通常、信用できるし、善意の下で行われる。10年ほど前にオランダとアメリカで実施された鳥インフルエンザの研究が好例だ。鳥インフルエンザの致死率は驚くほど高かったが、感染率は幸運にもかなり低かった。研究者はこの状況がどう変わるのか、形態がどのように変化すると感染力が増すのかを突き止めようと、フェレットを使って実験してみたのだ。つまり、致死性の高い病原体を感染力の高いものにしたのだ。
だが、こうした実験が悪い方向に進む可能性は十分にある。私を含めて何人かの研究者は、このようにウイルスを意図的に操作して改変するのは、核のボタンでいたずらするようなものだ、と感じている。
<核弾頭の紛失に匹敵する問題>
機能獲得研究は、言うまでもなく物議を醸している。アメリカ政府は機能獲得研究に対する資金提供を一時的に凍結した。だが、ここでも封じ込めが十分に機能せず、2019年に資金提供が再開された。
新型コロナウイルスには遺伝子操作された形跡が見られることに加え、武漢ウイルス研究所の研究実績から、コロナウイルスの分子生物学的特徴に至る状況証拠が次々に挙がっていることから、新型コロナウイルスは特定の研究所から漏出し、パンデミックが発生したのではないかと示唆されている。
アメリカのFBI(連邦捜査局)とエネルギー省はこれが事実と確信するが、CIA(中央情報局)はまだ態度を明らかにしていない。これまでのウイルスの流行と異なり、人獣共通感染症であるという明確な証拠が確認できないため、生物学研究が原因で膨大な人命が奪われ、全世界の社会が麻痺(まひ)し、何兆ドルも失われたと十分に考えられる。2022年末にボストン大学で行われた国立衛生研究所(NIH)の研究では、新型コロナウイルスの致死性の高い株と、感染力の高いオミクロン変異株のスパイクタンパク質を合成する実験が進められた。多くの人が研究を中止すべきだと感じていたにもかかわらず、公的資金が投入され、研究は進められた。
パンデミックは、悪意ある者が新しいテクノロジーを兵器化しようと試みた結果ではない。人類の健康を改善しようとした善良な者の意図しない結果だ。強力なツールの増殖がどのように誤った方向に進むのか、どのような間違いが生じるか、どのような報復効果(リベンジ・エフェクト)が展開するか、テクノロジーが現実と衝突することでどれほど予想も計算もつかない混乱が生じるか、パンデミックは示している。設計・理論段階から離れれば、最善の意図をもって実装しても「封じ込めできないテクノロジー」の主要課題は変わらない。
機能獲得研究は人類の安全を守ることを目的としている。だが、研究が行われるのは、研究所から危険物質が漏出し、パンデミックが起こるような欠陥のある世界だ。武漢で実際に何が起こったかに関係なく、コロナウイルスの機能獲得研究が行われ、ウイルスが漏れ出した可能性があると残念ながら考えられる。いくつもの研究所からウイルスが漏出してきた歴史的な記録を見過ごすわけにはいかない。
機能獲得研究と、研究所からのウイルスの漏出が鮮明に示すのは、来たるべき波によってどれほど恐ろしい報復効果(リベンジ・エフェクト)や不注意による障害がもたらされるかということだ。もし安全基準を半分程度しか満たさない研究所や無計画なバイオハッカーが機能獲得研究に取り組めるようになるなら、悲劇は避けられない。
どんなテクノロジーも威力を増して普及するにつれて、障害発生時の影響も拡大していく。1機の飛行機が墜落すれば、大変な悲劇だ。だが、航空隊が丸ごと墜落すれば、さらに恐ろしいことになる。
再度強調するが、こうしたリスクは悪意から生じるものではない。社会の中核システムに広く取り入れられた、史上最も高性能な最先端テクノロジーから生じる。
研究所からの漏出は意図しない結果の一例である。封じ込め問題の核心であり、原子炉のメルトダウンや核弾頭の紛失に匹敵する問題だ。このような事故によってまた新たな予測不可能なストレス要因が生まれ、システム内にさらに亀裂が生じる。
ビルゲイツの財団がウィスコンシン大学マディソン校に資金提供をして、鳥インフルエンザH5N1を人間に感染しやすくする機能獲得研究を行ったという情報があります。 トランプ政権で保健福祉省長官に就任するケネディ氏は、ウイルスの機能獲得研究を禁止し、新型コロナの起源とmRNAワクチンの闇を暴くと宣言しています。
ピーター・マッカロー博士のプロジェクトであるマッカロー財団は、ゲイツ財団がウィスコンシン大学マディソン校と主任研究者の河岡義裕氏に950万ドルを提供し、おそらく機能獲得改ざんを通じてH5N1を改変し、「ヒト型受容体を優先的に認識し、哺乳類で効率的に伝染する」ようにしたとツイートした。
The Gates Foundation gave .5 million to UW-Madison and principal investigator Yoshihiro Kawaoka to modify H5N1 viruses to preferentially recognize human-type receptors and transmit efficiently in mammals.
The money was also used in a project headed by both Yoshihiro Kawaoka and Ron Fouchier (he previously modified H5N1 to become airborne transmissible in ferrets at the Erasmus Medical Center), where they provided the two additional mutations that would be needed in Egyptian H5N1 viruses to create variants with the mammalian “transmissibility features” identified in the Kawaoka study. This indicates that the funded bioterrorist-like activities involving H5N1, providing blueprints for other bad actors who may want to create a bioweapon.
ゲイツ財団は、H5N1ウイルスを改変してヒト型受容体を優先的に認識し、哺乳類で効率的に伝染させるため、ウィスコンシン大学マディソン校と主任研究者の河岡義裕氏に950万ドルを寄付した。
この資金は、河岡義裕氏とロン・フーシェ氏(同氏は以前、エラスムス医療センターでフェレットに空気感染するようにH5N1を改変した)の両氏が率いるプロジェクトにも使われ、河岡氏の研究で特定された哺乳類の「感染特性」を持つ変異体を作るためにエジプトのH5N1ウイルスに必要な2つの追加変異を提供した。これは、資金提供がH5N1に関わるバイオテロのような活動であり、生物兵器を作ろうとする他の悪意ある人物に青写真を提供していることを示している。
コウモリコロナウイルスは、コウモリから人間に感染するように実験室で改変されたことが分かっているが、H5N1 は自然状態で鳥に感染する。H5N1 をフェレットで空気感染するように改変したロン・フーシェの研究を基に、ウィスコンシン大学マディソン校とカワオカの研究は、エジプトの H5N1 が哺乳類に「感染する特性」を持つ「変異体」を生成するために必要な2つの追加の変異を提供している。
このようにH5N1型鳥インフルエンザウイルスの機能獲得変異研究は、感染症の理解と予防に貢献する一方で、バイオテロに転用される危険性も内在しています。
機能獲得実験とは、ウイルスなどの病原体の遺伝子を改変し、新たな機能を獲得させる実験のことです。H5N1ウイルスの場合、ヒトへの感染性を高めたり、ヒトからヒトへの感染能力を獲得させたりするような変異を導入することが考えられます。これにより、悪意のある個人や団体がウイルスを操作し、バイオテロに利用するリスクが高まります。
<バイオテロへの悪用リスク>
パンデミック発生の可能性: 機能獲得実験によって、ヒトからヒトへ効率よく感染する新型インフルエンザウイルスが誕生する可能性があります。これにより、大規模なパンデミックが発生し、多くの犠牲者が出る恐れがあります。
既存のワクチンや治療薬が無効化: 新たな機能を獲得したウイルスは、既存のワクチンや治療薬が効かない可能性があります。これにより、感染拡大を食い止めることが困難になり、事態の深刻化につながる恐れがあります。
COVID-19のパンデミックを機に、mRNAワクチン技術が大きく進歩しました。その技術を活かして、鳥インフルエンザのワクチン開発にも応用しようとする動きが活発になっています。一部の製薬会社では、ヒトを対象とした臨床試験が開始されています。世界の大手製薬会社を中心に、多くの企業が鳥インフルエンザmRNAワクチンの開発に取り組んでいます。
しかし未必の故意ともいえる遺伝子改変の可能性がある新型コロナウイルスmRNAワクチンが、多大な健康被害と多大な犠牲者を出した事実は揺るぎません!