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真実を観る眼力 30 「量子もつれ」と「意識」
昨年、NHKスペシャルで「量子もつれアインシュタイン最後の謎」という番組が放送されました。アインシュタインもこの理論はおかしい、不気味な遠隔作用だと表現したほど難解で、まるでテレポーテーションやSFの世界が実在することを示唆するかのように現代物理学における最も奇妙で、かつ魅力的な現象の一つが「量子もつれ」です。
「量子もつれ」を最も簡単に説明すると、離れた場所にある二つの粒子が、一方の状態が変化すると、もう一方の状態が瞬時に変化するという現象です。まるで二つの粒子がテレパシーで繋がっているかのように、互いに影響し合うのです。
量子もつれを理解するために、よく使われる例えが手袋です。
- ペアの手袋: 一組の手袋を用意し、片方を東京へ、もう片方をニューヨークへ送るとします。東京で左手の甲の部分を触ると、ニューヨークにある右手の甲の部分も同時に触ったように感じられます。これは、二つの手袋が最初からセットで存在しているため、一方の状態が変化すれば、もう一方の状態もそれに応じて変化するからです。
量子論によると、何らかの相互作用を持った二つの粒子が、その後どんなに離れていようとも、一方の状態を観測(一方の状態が確定)すると、もう一方の状態も瞬時に確定する、このような二つの粒子の状態を「量子もつれ」といいます。
「量子もつれ」の実験
何らかの相互作用を持った二つの粒子(この実験では電子)
①二つの電子(ミクロ)は同じ場所から正反対の方向に向かって飛んで行く。
②観測しない段階では、左右方向に飛んでいったそれぞれの電子(ミクロ)は右回りに自転する状態と、左回りに自転する状態が共存する。「状態の共存」
③電子Bを観測して、電子Bの自転の向きが確定。(上の実験では右回転)
④電子Bを観測した瞬間に、観測していない電子Aの回転が真逆の回転に確定。(上の実験では左回転)
量子もつれの不思議な性質
①非局所性: 量子もつれは、空間的な距離に関係なく起こります。どれだけ離れていても、二つの粒子は互いに影響し合います。
②量子テレポーテーション: 量子もつれを利用することで、情報を光速を超えて伝送することが理論上可能であると考えられています。
③重ね合わせ: 量子もつれにある粒子は、観測されるまで、複数の状態が同時に存在する「重ね合わせ」の状態にあります。
「量子もつれ」状態にある2つの量子はどんなに離れていても光の速さを超えて瞬時に影響を与えるとされます。アインシュタインが不気味な遠隔作用とみなした現象は実際に存在することが、上記の実験により証明されました。
「重ね合わせ」とは、簡単に言うと、一つの粒子が、複数の状態を同時に持っているという状態のことです。ミクロの世界では、一つのモノが同時に複数の場所に存在できる、「状態の共存」という、量子(ミクロの世界)での不思議な現象です。
「量子重ね合わせ」実験 1
<ミクロ(量子)の世界>
①電子1個[ミクロのモノ(量子)]を箱の中に入れ、仕切りをします。
②このとき、箱の中の電子1個は「どちらにもある」、電子は左右同時に存在しています。
ミクロの世界では一つの物体は同じ時刻に複数の場所に存在できます!!「状態の共存」
③そして、フタを開けて観測した瞬間、電子はどちらか一方に入っている。「状態の確定」がおきます!
この実験から言える事は電子は観測前には「右にいる状態と左にいる状態とが共存」しています。観測するとその時にはじめて「どちらの状態が観測されるかが確定」します。観測によって「右側に存在する状態」に変化し、観測すること自体が、電子の状態に影響をおよぼしたということです。このようにミクロ(量子)の世界で、ミクロの物質の状態が同時に重なりあっていることを「量子重ね合わせ」といいます。
「量子重ね合わせ」実験 2
よりわかりやすい例えとして、猫を使った「シュレーディンガーの猫」という思考実験があります。
(実験概要)
箱の中に1匹の猫と、毒ガスの入った容器を入れます。毒ガスの入った容器には放射性物質(放射性崩壊しやすい元素)が入っていて、毒ガスが漏れると猫は死にます。
①箱の中に猫と毒ガスが入ったフラスコ、そして放射性物質が置かれています。
②放射性物質が崩壊すると、フラスコが割れて猫が死ぬという仕組みです。
③猫「マクロの物質」と、放射性物質「ミクロの物質」を同じ箱に入れてフタをして、人間が観測できない状態にしました。
④さて1時間経って、この箱のフタの中ではどうなっているでしょう?
放射性物質はミクロな物質なので、先程の電子の例と同じように、放射性物質が核分裂(毒ガスが漏れる)している状態と、核分裂していない(毒ガスが漏れない)状態が重なり合っています。「量子重ね合わせ」
放射性同位体は50%の確率で、崩壊する、または崩壊しない、とすると、
毒ガスが漏れ猫が死ぬ、死なないも、50%の確率でどちらも存在します。
このようにミクロの世界では、
核分裂している状態と、核分裂していない状態が、重なりあっていて、
猫が死んでいる状態と、猫が生きている状態も、重なり合っているということになります。
そして、人間が箱のフタを開け中の様子を観測すると、
その瞬間に放射性物質の状態はどちらかに決まる(収束する)ので、(崩壊 or 崩壊しない)
猫も、死んでいる(放射性物質が崩壊)、生きている(放射性物質が崩壊しない)、のどちらかに決まり(収束し)ます。
つまり量子力学の考え方では、観測するまで、猫は生きている状態と死んでいる状態の「重ね合わせ」の状態にあるとされます。
このように「量子もつれ」は、瞬時に影響が遠方に伝わるのではなく、二つの電子の状態がセットで決まっており(「もつれて」いて)個別では決められないからであることも分かりました。これが、「量子もつれ」とよばれるようになります。
「量子もつれ」は、私たちの常識からは外れ、科学や宇宙に対する理解を根底から揺るがす非常に興味深い現象ですが、この現象が人間に提起する問いとは何なのでしょうか?
1.物質観が大きく変わる(常識や概念が変わる)
量子もつれは、離れた二つの粒子が一方の状態が変化すると、もう一方の状態が瞬時に変化するという、これは空間と時間の概念を根底から揺るがし、私たちの物質観を大きく変える可能性を秘めています。
また量子粒子は観測されるまで、複数の状態が同時に存在する「重ね合わせ」の状態を取ることができます。この事実は、物質が必ずしも一つの状態に限定されるものではないことを示唆し、つまりミクロの世界(量子界)では「量子重ね合わせ」の数だけ世界が、無限のパラレルワールド(多世界)と並行し存在している事を証明しています。
2.意識の起源を解き明かす鍵
量子もつれは、意識の起源を解き明かす鍵となる可能性があり、この鍵を解くのが量子脳理論です。これは脳内のニューロンが量子もつれ状態になり、その状態が意識を生み出す基盤になるという仮説が立てられています。
「量子もつれ」と「意識」がなぜ関連付けられるのか?
意識が、どのようにして物質的な脳から生み出されるのか、という問いは、長年にわたって哲学や神経科学の重要なテーマとなってきました。
脳の働きや意識の発生に、量子力学的な効果が深く関わっているとする考え方が量子脳理論です。
<量子脳理論の主な考え方>
量子脳理論は、意識が量子的なプロセスから生じるとする考え方です。
この理論では、脳内の微小管と呼ばれる構造の中で量子計算が行われ、量子コンピュータのような役割を果たし、意識を生み出す基盤になっていると考えられています。
微小管の細胞内での働きは、細胞の骨格を形成したり、物質の輸送に関わったりしています。神経細胞内にも微小管は存在し、神経伝達物質の輸送経路として機能することが知られています。
量子脳理論において、微小管は非常に重要な役割を担っています。
<量子脳理論における微小管の役割>
- 量子計算: 微小管内のチューブリンと呼ばれるタンパク質が、量子ビットのように振る舞い、量子計算を行うことができるという仮説があります。
- 量子もつれ: 脳内のニューロンが量子もつれ状態になっていて、微小管での量子計算によって、意識を生み出す基盤になっていると考えられています。
- 量子コヒーレンス:微小管は、複数の量子状態が重ね合わさり、互いに干渉し合う現象(量子コヒーレンス)が維持され、量子もつれ状態を安定的に保つことができる可能性があり、それが意識の基盤になっているという考え方もあります。
このように意識が発現するプロセスは、脳内では神経細胞(ニューロン)が量子重ね合わせの状態になっていて、微小管という脳部位で量子計算をすることにより量子もつれが生じ、意識が発現すると考えられています。
脳内での量子重ね合わせの状態(意識が発現される前)から、量子もつれ状態(意識の発現)を引き起こすためには、「観測」という行為が必要です。
では量子脳理論においての「観測」とは、脳に電気信号が発生した時に起こる事を指すのでしょうか?
脳内の神経活動は、電気信号の伝達によって行われます。量子脳理論では、脳内のニューロンが量子もつれ状態になり、その状態が意識を生み出す基盤になっているという仮説がありますが、この仮説が正しいとすれば、神経活動に伴う電気信号=「観測」が、量子もつれの状態を変化させ、意識に影響を与える可能性があります。このように量子脳理論における「観測」は、脳内の電気信号と密接に関連している可能性があります。
意識の発現の引き金を引く、脳内電気信号=「観測」の発生は、大まかに次のような脳内での電気信号発生様式があります。
①感覚神経からの情報伝達
視覚、聴覚、触覚などの五感を通して得られた情報は、電気信号に変換され、脳に伝達されます。
②脳内での電気信号の発生
思考や記憶:思考や記憶という高次な脳機能を担う際、自発的に脳内で電気信号を発生させます。
感情:喜怒哀楽などの感情も脳の電気信号を発生させます。
③運動神経からの情報伝達
運動指令: 身体を動かすための指令も、電気信号の形で脳から筋肉に送られます。
ここで着目するポイントは、①感覚神経から脳への情報伝達、③運動神経からの情報伝達、による脳内電気信号=「観測」です。
「生きる」という根幹は、
行動・表現(身体運動)と感じる(身体感覚)という2つの身体の神経系(運動神経系と感覚神経系)に例えて大別する事が出来ます。
エネルギー的に言うならば行動・表現(運動神経)が出力、
感じる(感覚神経)が入力になります。
生命循環模式図
生物学的に動物とは「動く生物」との如く、物質環境のなかで身体運動を行ってきた生命体です。
これを裏付けるようにヒトの脳は進化的に古い旧脳(脳幹・小脳・大脳基底核)の上に大脳新皮質がのっている構造となっています。
旧脳(脳幹・小脳・大脳基底核)は身体活動、身体運動(出力)に深い関係をもつ脳部位です。<運動神経系>
ヒトの脳の構造からも分かるよう、旧脳から派生し後付けで大脳新皮質を発達させて来たことは生物は本来、身体運動(出力)を重点に作られ、それから身体感覚(入力)と身体運動(出力)のバランスを発展させて来たことをうかかがわせます。
行動・表現(出力=運動神経)を通し身体感覚(入力=感覚神経)にフィードバックする、フィードバックされた体感から分析、軌道修正、調整を行い生命活動を循環させていく事は、更なる正のフィードバックとなり意識の成長と拡大を促します。
脳内での量子重ね合わせの状態(意識が発現される前)から、量子もつれ状態(意識の発現)を引き起こすための、「観測」という行為=脳内電気信号の発現の正しい方法は、まず、運動神経系を司る脳の部位である、大脳皮質、小脳、基底核、脳幹からの情報伝達を通し、感覚神経を司る大脳皮質、視床などにフィードバックし、フィードバックされた体感から大脳皮質(体性感覚野、前頭葉、頭頂葉)、視床、大脳基底核、小脳、で分析、軌道修正、調整を行い、生命活動を循環させていく事が順当な「観測」行為に繋がると推察され、更に良心にそった行動・表現(出力)は最も優位なEGを持ちながら、無限の意識の成長と拡大への方向性になります。
(優位なエネルギーは劣位なエネルギーをコントロールする法則)
<正しい方向生への「量子もつれ」プロセス=正しく清明な意識の発現>
良心に沿った行動(出力)→愛の体現と体感→感覚神経から脳へフィードバック→脳で分析、軌道修正、調整→修正したものを再び出力し、生命活動を循環させていく