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真実を観る眼力 27 情報操作と洗脳⑥ 「非常戒厳」と改憲「緊急事態条項」
なぜ尹大統領はいきなり非常事態を宣布したのか・・・翌朝には解除
フランセス・マオ、ジェイク・クォン
韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が3日夜、「非常戒厳」の宣布を発表した。これを受けて大勢が国会議事堂の周りに集まり、戒厳令に抗議。国会は素早く、解除の要求を議決した。このため大統領は4日朝、戒厳令を解除すると表明した。
尹大統領は3日夜に「非常戒厳を宣布する」と発表した際、北朝鮮の脅威や「反国家勢力」から韓国を守り、自由な憲法秩序を守るためだと説明した。しかし、尹氏が韓国で40余年ぶりに戒厳令を発動する本当の理由は、外部からの脅威ではなく、本人が政治的に追い詰められているからだというのは、間もなくはっきりした。今年4月の総選挙で野党が圧勝。以来、レームダック(死に体)状態となっている。政府として国会で法案を通すことができず、リベラルな野党が通過させた法案に拒否権を発動する程度のことしかできない状況だ。加えて尹氏は今年、いくつかの汚職スキャンダルに見舞われてきた。妻をめぐっては、高級ブランドのディオールのバッグを受け取ったとされる疑惑や、株価操作に関わったとされる疑惑が浮上した。このため支持率も低下し、17%前後という低水準で推移している。
緊急事態宣言下で戒厳令が布告されると、国民の自由や議会活動は大きく制限されます。一時的に独裁状態をつくり出す可能性もあり、運用を誤ると、国家と社会はとんでもない方向に進んでしまう恐れがります。
戒厳令、およびその発令を可能とする憲法の緊急事態条項について、憲法学者で駒澤大学名誉教授の西修氏は自身の論文のなかで、憲法の国家緊急事態条項を「戦争、外部からの武力攻撃、内乱、組織的なテロ行為、重大なサイバー攻撃、経済的な大恐慌、大規模な自然災害、その脅威が広範に及ぶ伝染病など、平時の統治体制では対処できないような国家の非常時にあって、国家がその存立と国民の生命、安全を守るために、基本的人権の一時的制約をふくむ特別な措置を講じることができる条項」と定義しています。西氏によると、こうした思想の源流は欧州、とくにドイツで発達し、その後、各国の憲法に盛り込まれるようになりました。
日本の国立国会図書館・調査及び立法調査局が2023年に公表した「諸外国の憲法における緊急事態条項」によると、「非常事態」「国家緊急事態」「防衛事態」といった名称で多くの国が憲法で緊急事態に関する条項を定めています。
経済協力開発機構(OECD)に加盟する38カ国で見ると、緊急事態条項を憲法に盛り込んでいるのは30カ国、全体のおよそ8割を占めています。
韓国憲法第77条は、大統領が国家の存立が危機に瀕した場合、すなわち「戦争その他の非常事態」において、戒厳令を発令できることを規定しています。
これに対し、米国や英国など8カ国は憲法に緊急事態に関する定めがありませんが、米、英、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドなどは国家の非常事態に関する法律を制定しており、危機の場合は行政に多くの権限を与えています。
憲法に規定がなく、独自の法律も持っていないOECD加盟国はノルウェーとベルギー、そして日本だけです。
日本国憲法改正「緊急事態条項」とは?
日本でも有事などで政府に権限を集中させ、市民の権利を制限する「緊急事態条項」導入を憲法改正の議論で石破茂首相が「明記」を訴え、与党などがその新設を求めています。
<日本国憲法第98条「緊急事態条項」新設の主な内容>
(改憲草案)内閣総理大臣は、法律で定める緊急事態において閣議にかけて、緊急事態の宣言を発する事が出来る。何人も、当該宣言に係わる事態において国その他、公の機関の指示に従わなければならない。
これは大規模災害、テロ、戦争などが発生した緊急事態時に、即時に内閣総理大臣権限で指示命令ができるようにするもので、言い換えれば内閣総理大臣に全ての権限が集中するものです。
具体的な危険性
- 人権侵害のリスク: 緊急事態宣言下では、政府が国民の自由や権利を大幅に制限する可能性があります。歴史的に見ても、緊急事態条項は独裁政権による人権抑圧に利用されてきた例が数多くあります。
- 権力集中: 政府に過度の権力が集中し、民主主義の根幹を揺るがす恐れがあります。
- 濫用の可能性: 緊急事態とみなされる基準が曖昧な場合、政府が恣意的に事態を悪化させ、自らの権力を強化するために緊急事態宣言を出す可能性が考えられます。
- 長期化のリスク: 一旦、緊急事態が宣言されると、その状態が長期化する可能性も否定できません。長期にわたる人権制限は、社会に大きな弊害をもたらす恐れがあります。
過去の歴史に於いて、ヒトラーが緊急事態条項を利用して独裁政治を行ったことは、歴史的に重要な教訓として認識されています。
改憲議論の大きなテーマの一つとされてきた緊急事態条項は、2012年に自民党が改憲草案に盛り込み、2018年には「改憲4項目」に位置付けました。条文案では大規模災害の際に内閣が法律に代わって制定する「緊急政令」や、選挙の実施が困難な場合の国会議員の任期延長を規定するとしています。
2023年には日本維新の会と国民民主党、有志の会も、緊急事態時の国会議員の任期延長を可能とする条文案を作成しましたが、日本の議員任期延長も、延長され続ければ選挙が行われず、民主主義の否定につながる可能性もあります。
「緊急事態条項」新設への懸念
憲法改正による「緊急事態条項」新設への懸念がヒートアップしたのが、WHOがパンデミック条約の条項をそのままIHR改正案(国際保健規則改正案)に盛り込み、IHR(国際保健規則)改正でパンデミック条約を実現させ、WHO加盟国にIHR(国際保健規則)の法的拘束力を行使させるという暴挙を行った時でした。
2024年6月1日突如、WHOの最高意思決定機関(194の全加盟国・地域の代表で構成される)「世界保健総会(World Health Assembly:WHA)」でIHR(国際保健規則)改正案を強行裁決し可決され、WHOはパンデミック条約を裁決で可決できなかった為、パンデミック条約の条項をそのまま国際保健規則改正案に盛り込み、IHR(国際保健規則)改正でパンデミック条約を実現させるという暴挙を行いました。
IHR(国際保健規則)とはWHOの定める法的拘束力のある文書で、改正案で決議された内容は以下の通り。
1.パンデミック緊急事態
パンデミック宣言により、実質的にWHO事務局長テドロス氏が全ての権限を掌握する。パンデミックの明確な定義は無いので、テドロス氏がパンデミックを宣言すればパンデミック緊急事態となる。
2.遺伝子治療を含む保健製品
PCR検査、遺伝子治療法(mRNAワクチンなど)パンデミック緊急事態になると民間製薬会社が自分たちの製品の規制や配分を決めることができる。
13条によりWHOが承認した治療(mRNAワクチン等)は加盟各国政府は速やかに承認しなければならない。
*これら膨大な利益はグローバリスト、DS、特定財団、パンデミック産業が独占している
IHR(国際保健規則)改正での取り決めは、WHOの独善的、独裁的な権限を強化し、全ての反発を誤・偽情報と称して抹殺し、WHO加盟国にIHR(国際保健規則)の法的拘束力を行使させると共に、WHOが適切と判断した保健製品を国民に積極的に推進させる責任を加盟国に負わせました。(ワクチン接種の強力な推進など)
このような事があり、パンデミックの明確な定義が無いにも関わらず、テドロス氏(権力者)がパンデミックを宣言すれば、パンデミック緊急事態となることから、仮に憲法改正で「緊急事態条項」が新設され、政府が恣意的に緊急事態宣言を発すれば、パンデミック(定義が曖昧)という国家の非常時にあって(ワクチン強制接種)にも繋がるなど、緊急事態条項は「権力者に極端な手段を与え得る」との憂慮が、反ワク陰謀論者とレッテルを貼られた「まともな人々」の間で広がりました!
韓国の非常戒厳と、日本で議論される緊急事態条項は違いもありますが、今回の例を通じ権力が暴走して乱用されうると、今まで当然と思っていた民主主義は突如として壊れかねないことの現実を再確認させられました。
昨年、日弁連は意見書で緊急事態時の議員任期延長について「権力維持目的で乱用されることが容易に想定される」と批判しました。
韓国での戒厳令は韓国民衆の叫び声が権力の暴走を止める原動力となりましたが、このことが対岸の火事に留まらず日本に於いても「緊急事態条項」の改憲議論を国民に分かりやすく周知して、実際の使われ方などについてもっと認識を深めた上での慎重な改憲発議が必要で、これらを蔑ろにしたまま「緊急事態条項」の新設を国民投票へ負託することがあってはならなず、「緊急事態条項」の誤用や恣意的な発動は、基本的人権(個人の尊厳、思想・良心の自由、表現の自由、生存権など)の侵害、管理社会、更にその乱用は、中央集権的な統治につながる危険性を孕む認識を持つ事も大切に思います。