健康と施術の情報
肩の脱臼について
ワールドシリーズ第2戦の7回裏、大谷選手は二塁盗塁を試みた際に左肩を負傷し左肩関節亜脱臼をしてしまいましたが、肩関節脱臼を免れたのは不幸中の幸いでした。
脱臼とは関節を構成する骨が完全に離れてしまう状態で、大谷選手の亜脱臼は関節が完全に外れる手前で、部分的にずれた状態です。
肩関節は脱臼しやすい関節で、外傷性脱臼の約52%を占め、次いで肘関節脱臼27%、顎関節3%となっています。
肩関節脱臼の97%~98%が上腕骨頭が前方へ飛び出してしまう前方脱臼で、外傷性脱臼後、10歳代では90%以上、20歳代では80%が反復性脱臼へと移行しやすいのも特徴の一つで、特にスポーツをしている活動性の高い若年者で再脱臼率は高まります。
肩関節前方脱臼の発症原因は、転倒など外力によって腕を外側につき、なおかつ腕が外側へ捻れた際や、腕が水平方向へ伸ばされ時に多く発症します。
今回、大谷選手もスライディングした際に腕を外につき、外側へ捻れたまま、手をついた衝撃で後上方+前方向へのベクトルが加わり、亜脱臼してしまいました。
肩が外れ易い原因の一つは、上腕骨頭と肩甲骨の関節窩に「テニスボールと盃、ゴルフボールとティー」などの関係に例えられるほど大きさに差があるからで、上腕骨頭関節面の1/3~1/4しか肩甲骨関節窩と接触していないため、外れ易い関節の構造になっています。
ほかにも、肩の関節は広い可動域を持つ事、肩関節を安定させている関節包や靱帯が緩い、そのため関節の固定を肩関節の筋肉に依存することが多く高負荷がかかる、などの要因があげられます。
私も仕事柄、肩関節脱臼は幾度も整復・治療を行いましたが、整復し外れた骨を戻しても固定をしっかりと行わないと再脱臼するリスクが高まり、脱臼時または亜脱臼時に関節周囲を支持している関節唇、関節包、靱帯、筋肉も損傷し炎症を起こすため、固定+安静にすることは周囲軟部組織の早期回復と習慣性脱臼を防止する上でも大切な事です!
大谷選手の事なので第3戦の出場を直訴すると思われますが、Dr、トレーナーがどのような見解を示すのか!?今後の選手生命も踏まえれば大変に慎重で難しい決断が迫られます!!
(一、大谷ファンより)