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春の長雨と気象病対策 自律神経を安定させる方法
春の長雨は、3月中旬から4月にかけて高気圧が北に片寄ると日本の南岸沿いに前線が停滞して梅雨どきのようなしとしと雨が降り続くことがあります。
こんな不安定な時期は、気象病に要注意
気象病は、気圧、気温、湿度などの気象の変化によって自律神経が乱れることが原因で起こると考えられています。
自律神経を安定させる方法を紹介します。
<自律訓練法>
自律訓練法とは、ドイツの精神科医であるヨハネス・ハインリヒ・シュルツ博士が開発した心身のリラックス法です。
(概要)
自律訓練法は、自己暗示を用いて心身をリラックスさせ、自律神経のバランスを整えることを目的とした方法です。
具体的には、以下の手順で行います。
(準備)
- 静かでリラックスできる場所を用意します。
- 仰向けに寝るか、椅子に座ります。
- ゆるい服装に着替え、体を締め付けるものは外します。
- 時計や携帯電話などの音を消します。
(練習)
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気持ちを落ち着ける
目を閉じて、ゆっくりと深い呼吸をします。息を吸い込むときは、お腹を膨らませ、吐き出すときは、お腹を凹ませます。 「気持ちが落ち着いている」と、心の中でゆっくりと繰り返します。
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温かさ
両手に意識を向け、「両手が温かい」と心の中でゆっくりと繰り返します。 実際に両手が温かくなるようにイメージします。 温かさが両腕全体に広がっていく様子をイメージします。
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重たさ
両腕に意識を向け、「両腕が重い」と心の中でゆっくりと繰り返します。 実際に両腕が重くなっているようにイメージします。 重たさが両肩、首、胸へと広がっていく様子をイメージします。
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心臓
胸に意識を向け、「心臓が静かに打っている」と心の中でゆっくりと繰り返します。 実際に心臓が静かに打っている様子をイメージします。 心臓の鼓動が穏やかになっていく様子をイメージします。
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呼吸
お腹に意識を向け、「楽に呼吸をしている」と心の中でゆっくりと繰り返します。 実際に楽に呼吸をしている様子をイメージします。 呼吸が自然に深くなっている様子をイメージします。
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おなか
お腹に意識を向け、「おなかが温かい」と心の中でゆっくりと繰り返します。 実際に温かいおなかをイメージします。 温かさがお腹全体に広がっていく様子をイメージします。
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額
額に意識を向け、「額が心地よく涼しい」と心の中でゆっくりと繰り返します。 実際に涼しい額をイメージします。 涼しさが頭全体に広がっていく様子をイメージします。
(消去動作)
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両手を軽く握る
両手を軽く握りしめ、「力を入れている」と心の中でゆっくりと繰り返します。 5秒ほど力を入れた後、「力が抜けていく」と心の中でゆっくりと繰り返し、ゆっくりと手を広げます。
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両腕を伸ばす
両腕を思いっきり伸ばし、「腕を伸ばしている」と心の中でゆっくりと繰り返します。 5秒ほど伸ばしたまま、「力が抜けていく」と心の中でゆっくりと繰り返し、ゆっくりと腕を下ろします。
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深呼吸
ゆっくりと深い呼吸を3回ほどします。 息を吸い込むときは、お腹を膨らませ、吐き出すときは、お腹を凹ませます。
(注意点)
- 最初は無理せず、1〜2公式から始めるのがおすすめです。
- 毎日練習することで、効果が高まります。
- どうしても集中できない場合は、無理せず休憩するか、別の日にしましょう。
- 体調が悪い場合は、行わないようにしましょう。
(効果)
自律訓練法には、以下のような効果があるとされています。
- ストレスの軽減
- 不安感や緊張の緩和
- 睡眠の改善
- 集中力の向上
- 痛みの緩和
- 血圧や心拍数の安定
(根拠)
自律訓練法の効果は、科学的に証明されています。例えば、脳波検査や心拍数変動検査などの結果、自律訓練法を行うことで、リラックス状態を示す脳波が出現したり、心拍数変動が増加したりすることが確認されています。
(安全性)
自律訓練法は、安全性の高い方法です。
もともと自律神経は自分の意志では制御できない神経で、唯一、自律神経を意志でコントロールする方法として呼吸法があります。深呼吸は特に息を吐くさいに時間をかけることで、交感神経優位状態から副交感神経優位の状態に自然と切りかわりやすくなります。呼吸も自律神経がコントロールしているので、深呼吸(息を長く吐く)を意識して行うことは自律神経をコントロールします。
自律神経を安定させる呼吸法
<腹式呼吸>
腹式呼吸は、横隔膜を大きく上下させて行う呼吸法です。
胸式呼吸と比べて、より多くの酸素を取り込むことができ、副交感神経が優位になりやすくなります。
具体的な方法
- 仰向けに寝るか、椅子に座ります。
- 両手を腹部の上に置き、リラックスします。
- 鼻からゆっくりと息を吸い込み、お腹を膨らませます。
- 胸はあまり動かさずに、お腹だけで呼吸します。
- 口からゆっくりと息を吐き出し、お腹を凹ませます。
- 3~5を5分ほど繰り返します。
ポイント
- 呼吸を意識し、ゆっくりと行うことが重要です。
- 無理に続けようとせず、自分のペースで行いましょう。
- 毎日行うことで、効果を実感しやすくなります。
<ヨガ呼吸>
ヨガ呼吸はプラーナヤーマとも呼ばれ、ヨガの基本的な練習法の一つです。
ヨガ呼吸の目的は、以下の通りです。
- 副交感神経を優位にし、心身をリラックスさせる
- 集中力を高める
- エネルギーの流れを改善する
- 体の隅々まで酸素を届ける
- 内臓機能を活性化する
- 老廃物を排出する
(種類)
ヨガ呼吸には様々な種類がありますが、代表的なものをいくつかご紹介します。
- ウジャイ呼吸:喉を少し絞めて行う呼吸法で、心を落ち着かせ、集中力を高める効果があります。
- カパラバティ呼吸:力強く息を吐き出す呼吸法で体を浄化し、エネルギーを活性化する効果があります。
- ナーディー・シュッディー呼吸:片鼻呼吸法(ナーディー・シュッディー)という意図的に左右の鼻を交互に使いながら息を吸ったり吐いたりする呼吸法がありますが、これは交感神経と副交感神経のバランスを整える呼吸法で、右鼻呼吸は左脳(交感神経)、左鼻呼吸は右脳(副交感神経)が活性化されます。脳のバランスを整え、ストレスを軽減する効果もあります。
片鼻呼吸法(ナーディ・シュッディー)
★片鼻呼吸の手順
【手順1】アグラ(蓮華座)で座り、舌の先を上あごにつける
【手順2】口を軽くあけた状態で、両鼻から息を深く吸い、深く吐く(3〜4回繰り返す)
【手順3】目を閉じる
【手順4】右手親指で右小鼻を押さえて左小鼻から息を吸う(4秒)
【手順5】右手親指で右小鼻を押さえたまま、右手薬指と小指で左小鼻を押さえて息を止める(16秒)
【手順6】右手親指を開放して、右小鼻から息を吐く(8秒)
【手順7】吐ききったら、右小鼻から息を吸う(4秒)
【手順8】右手親指で右小鼻を押さえて息を止める(16秒)
【手順9】右手薬指と小指を解放して、左鼻から息を吐く(8秒)
【手順10】吐ききったら、左小鼻から息を吸う(4秒)
【手順11】手順3〜10を何度か繰り返す
【手順12】最後は、手順2と同様の行為で終える - シータリー呼吸:舌を丸めて息を吸い込む呼吸法で、体を冷やし、心を落ち着かせる効果があります。
- バストリカ呼吸:胸を大きく膨らませるように行う呼吸法で、肺活量を増やし、エネルギーを活性化する効果があります。
- 静かな場所で、リラックスして行う
- 背筋を伸ばし、正しい姿勢で行う
- 鼻から息を吸い、口から息を吐く
- 呼吸を意識し、ゆっくりと行う
- 無理せず、自分のペースで行う
注意点
ヨガ呼吸は安全な方法ですが、以下のような場合は注意。
- 重度の精神疾患がある場合
- てんかん等の発作性疾患がある場合
- 妊娠中・授乳中の方
<マインドフルネス瞑想呼吸法>
自律神経の乱れを整えるうえで大切なストレス対策としマインドフルネスの瞑想があります。
マインドフルネスの瞑想の際の呼吸法は、
4秒かけて鼻からゆっくり吸い、
吸った倍の8秒かけて、口からゆっくり吐きます。
慣れてきたら、吸気1:呼気3、吸気1:呼気4と吐く息を3倍、4倍と伸ばしていってもかまいません。
関連リンク:キラー・ストレス3(命を奪うストレス)
<自律神経を整えるSelfーtherapy>
(手首ぶらぶら体操)
手首や前腕部を圧迫し痛い所を指で押さえて手首を振ります(湯舟の中で水圧をかけるとより効果的です)
*自律神経を安定させ、気の流れもよくなります
<アーユルヴェーダ(インド伝統医学)による方法>
アーユルヴェーダとは、サンスクリット語のアーユス(Ayus;生命・寿命)とヴェーダ(Veda;科学・知識)が組み合わさって出来た言葉で「生命科学」という意味があり、古代インドを発祥とし約5千年の歴史を持つインド伝統医学をいいます。
アーユルヴェーダでは、心、体、行動や環境も含めた全体としての調和が健康にとって重要とし、このような心身のバランス・調和を重視する考え方の全体観(holism)の医学とも言われています。
アーユルヴェーダの考え方では、物質や現象の基礎にはエネルギーが働いているとし、体や心の働きの基礎にもエネルギーが存在して動きや変化が生じると考えます。
体、心の動きの基礎にはそれぞれ3種類のエネルギーが存在していると言われます。
体のエネルギーは3つのドーシャによって支えられています。ドーシャとは各々「地」「水」「火」「風」「空」など自然の事象を表し、速い、鋭い、重いなどといった性質を持っており、各々相互関係の中で増減を繰り返し、あるときは安定した健康な状態を、あるときはアンバラスで不健康な状態を作り出しています。
ドーシャの体質と特徴と起こりやすい疾患
ドーシャ体質 | 体の特徴 | ドーシャ過剰による症状 | 起こりやすい疾患 |
ヴァータ体質 |
俊敏・活発 すばやく軽快 傷の治りが速い |
便秘、寒がり、 腹部膨満、痛み、 不眠、皮膚の乾燥 |
下半身異常(坐骨神経痛、腰痛、冷え性、大腸疾患) 神経疾患(頭痛、脳卒中、パーキンソン病) 循環器疾患(狭心症、高血圧、心筋梗塞) |
ピッタ体質 |
快食、快便 体が軟らかい 皮膚が輝く |
皮膚発疹、出血しやすい 胸やけ、灼熱感 目の充血、下痢 |
胃・十二指腸疾患、心疾患 肝臓・胆嚢・膵臓疾患 アルコール依存症、皮膚病 |
カパ体質 |
体力・持久力がある 体格がよい よく眠れる |
だるさ、眠気、 口内が甘い、痰が多い、 鼻水・鼻づまり |
気管支疾患、喘息、鼻炎 糖尿病、関節炎、腫瘤性疾患 |
ドーシャと季節の関係
ドーシャ |
季節 |
ヴァータ |
晩秋~初冬 |
ピッタ |
夏~秋 |
カパ |
冬~春
|
特に春はカパのドーシャが乱れやすくなる傾向があるため、アーユルベーダではカパをバランスさせる生活を心がけるようにして、カパドーシャを沈静化させます。
カパをバランスさせる生活
- 寝過ぎ、昼寝をしないで日中は活動的になるよう心がける
- 朝日を眺めながらの散歩、その他の運動習慣を身につける
- 食事は冷たいも、油っこい物は避け温かい食べ物、リンゴ、ハチミツ、ホットスパイス(ショウガ、ワサビ、カラシなど)積極的に摂る
- 朝食、夕食は軽め
- 体を温かくする
- アロマなど香りを楽しむ
<五大元素イメージング法>
楽な姿勢で背骨を伸ばし地元素から順番にイメージしていきます。
地元素…大地、土、山などをイメージしその場に立っている、または触れているイメージをします。
水元素…海・川・雨など水に触れているイメージをします。
火元素…太陽・炎を・火をイメージし暖かさを感じてみます。
風元素…風をイメージし、風が皮膚にあたるのを感じてみます。
空元素…広大な宇宙空間に漂っているイメージをします。
五大元素イメージ
この時、それぞれの元素の持つ性質をありありとイメージできる様に訓練してみましょう。大地に立った時の土の匂いや、土から伝わる足の裏の感覚、水の冷たさや清涼感、火の暖かさや温もり、五感を使うイメージでそれぞれの元素に触れたり、匂いをかいだり、その空間にある音や動植物の声を聞いたり、リアルに詳細なイメージをします。
感覚は上行性伝導路といって五感・触覚・温冷覚・痛覚などの感覚を各感覚受容器から大脳皮質感覚野に伝えられ、エネルギーの入力に相当します。
五大元素を感じるとは、これらの感覚器をイメージしながら使い、脳へ五大元素のエネルギーの入力をしているわけです。脳ばかりでなく東洋医学的に言えば12経脈(全身の気の通路)すべてにEG補完をしています。
中でも最も重要なエネルギー経路(ナディー)が、スシュムナー管、イダー管、ピンガラー管です。自律神経との関係では、ピンガラーは交感神経、イダーは副交感神経になります。
五大元素イメージング法ではエネルギーが補完され、エネルギー経路の循環が活性化し、自律神経も安定させる効果をもたらします。
五大元素とは体・心すべてを作っている基ですから、この元素を意識しながら入力していく事によりバランスよく必要なEGが心身にオートマチックに補完されていくのです。そして、感じることは思考を止考させる効果もあるので瞑想の要素も加味され、心を安定させる効果もあります。
自然の中は五大元素(地・水・火・風・空)のエネルギーに満ちているので、自然の中で過ごす事は五大元素のエネルギーの吸収、循環の活性化につながり、身体にプラーナ(生命エネルギー)が満ちて、エネルギー循環が良くなり身心ともに「元気」になります。(^○^)